今回は,管理人がライトジギングで使用しているベイトリール「シマノ 16グラップラーBB 200HG」を紹介します。
目次
ライトジギングリールのエントリーモデル
概要
シマノが2014年に立ち上げたオフショアゲームロッドのブランド「グラップラー」。
それまでシマノはオフショアジギングは2万円を超える価格帯しかラインナップされていませんでしたが,手に取りやすい価格設定とパワー,操作性を備えた「グラップラー」の登場によって実売価格で2万円を切るハイコストパフォーマンスブランドが現れました。
さらに2016年,シマノは「グラップラー」の下位機種となるライトジギング用に設計を施したブランド「グラップラーBB」を誕生させました。
「グラップラーBB」はロッドとリールどちらも1万円台前半で手に入るエントリーモデルで,ロッドとリールを合わせるとしっくりくるようデザインが施されています。
今回はリールを紹介しますが,またロッドの「シマノ グラップラーBB B632」も別の記事で紹介していますので併せてご覧下さい。
気になるリールのラインナップは,シンプルにベイトリールの右ハンドル仕様の200HGと左ハンドル仕様の201HGの2アイテムだけです。
そのなかで私は右ハンドルを選択しました。
このブランドに対するシマノのコンセプトは,「高剛性軽量化」です。
リールのボディにカーボン強化素材であるCI4+を採用することによって,「優れた剛性」と「軽量自重」を両立しているというのがシマノのうたい文句です。
そうは言うものの,エントリーモデルのロッドって安いなりの性能しかないと思っていませんか?
私としてはグラップラーシリーズのリールよりも更にコストパフォーマンスに優れたライトジギングの定番になると思うので,気合を入れて紹介していきます。
それでは,気になるスペックを見てみましょう。
スペック
品番 | 200HG(右) | |
ギヤ比 | 7.2 | |
最大ドラグ力 | 5.5 | (kg) |
自重 | 185 | (g) |
巻糸量 | 1-440・1.5-290・2-200 | PE(号-m) |
最大巻上長 | 77 | (cm/ハンドル1回転) |
スプール下巻ライン | 1/3,2/3 | (PE号-m) |
スプール径/幅 | 34/22 | (mm) |
ハンドル長 | 51 | (mm) |
ベアリング (S A-RB/BB/ローラー) |
4/1 | (個) |
価格 | 15,000 | (円) |
引用元:シマノ「グラップラーBB」
スペックで特筆すべきは自重の185gですね。
例えばシマノのベイトリールで言うと,「17炎月 100HG(右)」(30,000円)の自重は215g,「16スコーピオン 70HG RIGHT」(27,000円)の自重は190g,「14クロナークCI4+ 150HG RIGHT」(35,000円)の自重は185gといった具合に価格が上の機種と同等もしくはより軽量化されています。
ライトジギングも通常のジギングと同様に一日中シャクリ続ける釣りですので,軽ければそれだけ体への負担が少なくなるため,ライトジギングの分野においてリールの軽量化は特に重要です。
それと同じくらいにジギングというリールにとって過酷な使用状況のため耐久性が重要ですが,ボディに使用されているCI4+がどこまで信頼出来るかは置いといて,ギアの頑丈さについては定評のあるシマノですので信頼して良いと思います。
また,糸巻量がPE1.5号を290m巻けるので,100mくらいの水深のフィールドなら対応出来ます。
なお,PE1.5号もあればライトジギングで真鯛やタチウオはもちろんのこと,ワラサ・メジロクラスのブリにも対応出来ますので,あとはドラグ性能が良ければライトジギングに必要な性能が満たされます。
スペック上では最大ドラグ力が5.5kgと記載されていますので,実際に使用する際は3kg前後にドラグ値を設定してあげれば大型魚は難しいですが,近海のライトジギングでは問題なく使用出来ます。
その他のスペックとしてベアリングが4個入っていますが,価格が上の機種と比べると少ないと思われるかもしれません。パーツリストを見ればよく分かりますが,リールに最も必要なスプール軸とギア部分に4個が搭載されており,その他は巻き心地や使用感に影響する箇所です。
ジギングのような一日中シャクリ続ける釣りにシルキーな巻き心地は必要ありませんので,回転性能と耐久性に影響する箇所にベアリングが搭載されていれば十分で,あまりベアリング数を気にする必要はありません。
ただし,気になるのであれば,別途カスタムパーツを購入すれば巻き心地を改善することも可能ですよ。
次は,このリールの特徴について紹介します。
フィーチャー
高強度軽量カーボン強化素材CI4+採用
引用元:シマノ「グラップラーBB」
CI4+というのは炭素繊維強化プラスチックのことですが,メーカーのうたう高強度をどこまで信頼すれば良いかは今後も使用し続けないと何とも言えないですね。
ちなみにエギングで使用している「セフィアCI4」は約10年間使用した結果,全く問題なく今でも現役で使用出来ているので,極度に負荷がかかる釣りでない限り耐久性に問題はありません。
また,強度はともかく,ボディにCI4+を使用したことでリールが非常に軽くなりました。
ジギングタックルを使用した後でライトジギングタックルに持ち替えると軽さが際立ちますよ。
余談ですが,釣具って業界用語や専門用語が多いですよね。
ラインはポンド表記だったり,号数表記だったりしますし,オモリやルアーも号数だったりグラムだったり,オンスだったりと釣りのジャンルや素材によっても違います。
またはリールに対して「剛性」とか釣り竿に対して「トルク」のような表現があり,本来の意味とは違う言葉の使い方をしますよね。
業界用語で話すとそれっぽく感じますが,一般人には分かりづらいので,釣り業界の発展のためにも分かりやすい表記の仕方や統一した言葉遣いを検討して欲しいものです。
51mmロングクランクハンドル
引用元:シマノ「グラップラーBB」
ダブルハンドルとしては,51mmは非常に大きく感じます。巻き上げ力の向上につながっていますし,良い仕様だと思います。ただし,150gのメタルジグをシャクっていると巻き上げ力が足りなく感じますし疲れます。
120gまでなら問題ありませんでしたので,それより重いメタルジグを使用する時はパワーハンドルが欲しくなりますね。
シマノ純正の夢屋パワーハンドルはこちら。
カーボンクロスワッシャ
スムーズな滑り出しと高耐久性を兼ね備えるカーボンクロスワッシャを採用。シルキーなドラグ性能は細糸を使う場合でも安心。
引用元:シマノ「グラップラーBB」
この雑な説明からシマノがこのリールをあまり積極的に売る気がないことが伝わってきますね(笑)
HPにリールの特徴で「カーボンクロスワッシャ」とその説明が記載されていて,いったいどれだけの人がこのリールに興味を示すのでしょうか?
リールにおけるワッシャーの役割は,グリスを塗られたワッシャーがリール内部のギア周辺に組み込まれることで,適度な摩擦力を生み出し,魚の引っ張る力が一定の力を超えた時,糸がゆっくりと放出されることでラインブレイクを防ぎます。
それがいわゆるドラグ性能というのですが,一般的にフェルト素材が使われているところをこのリールでは,カーボン素材にすることで滑り出しと耐久性を向上させています。特にライトジギングでは,不意に大物がかかる可能性がありますので,細いPEラインで魚とやり取りする上で良いドラグ性能と高耐久性は欠かせません。
というようになぜこれが搭載されたのか説明がないと分からないと思いますし,エントリーモデルを買う人はこれから釣りを始める人が少なからずいると思うので,HPの説明はもう少し詳しく書いてくれると嬉しいですね。
また,このリールはライトジギングをメインとして使用しますので,ドラグ性能を維持するためにメンテナンスが欠かせません。
メンテナンスには,必ずシマノの純正のドラググリスを使用しましょう。
ただし,釣具屋での取り寄せすると,注文してから3~4日待ち,連絡が来てからまた釣具屋へ行く必要があるため,かなり面倒ですのであまりオススメ出来ません。
ヘッジホッグスタジオから必要な道具やグリスが揃うので,まだ持っていない人は利用することをオススメします。
実釣を通しての感想
やはりライトジギングの対象魚といえば,タチウオや中型までの青物が有名ではないでしょうか。
私が行った釣行の中で使用したリールの感想を紹介します。
タチウオジギング
直近で使用した釣行は,2018年11月にライトジギングでタチウオ釣りをしたときです。
その時の釣行記はこちら
【釣行記】オフショアジギングで青物とサワラとタチウオが爆釣!!
巻き心地は滑らかで近海で使用したとき糸巻き量に不満はなく,ライトジギングをしていてもギアやリールに不安はありません。
ドラグ性能にも問題なく大物のタチウオが釣れると引きに合わせてドラグもスムーズに出ていきますのでバレを防いでくれます。
やはりライトジギング用に設計されただけのことはあり,中小型の魚をかけたときのやり取りはかなり楽しいですよ。
サワラジギング
もちろんタチウオだけでなく,サワラのような3kgを超える大型で良く引く魚であっても,問題なく釣り上げることが出来ますよ。
そのときの釣行記はこちら
このクラスのリールでサワラをかけると,ドラグが良く出ていくのでかなりファイトが楽しいですよ。
やはり150g前後のメタルジグを激しくシャクるとさすがにハンドルが重く感じます。
120g程度なら問題なく操作出来ますが,それより重いと少し無理がありますので,パワーハンドルに交換しても良いと思います。
また,この日は3kgオーバーのサワラを掛けても全く不安なく釣り上げることが出来ましたので,ライトジギング用のリールとして十分な性能を備えていることが分かるかと思います。
しかし,ボディやギアの感覚から,青物はワラサ・メジロクラスまでのブリをターゲットとするに留めておいた方が無難だと感じました。
本気で大型のブリを狙うのであれば,「シマノ 14グラップラー B634」と「ダイワ 15ソルティガ15(ベイトモデル)」をオススメします。
このタックルならブリサイズの青物でも,問題なく釣り上げることが出来ますよ。
その他の釣り
ライトジギング以外にも2017年12月にレンタルボートでアジ釣りをしたときにも大活躍してくれました。
その時の釣行記はこちら
このときは,ライトジギングではなく,ファミリーフィッシングの定番であるサビキ釣りやジグサビキに使用しましたが,十分な釣果をもたらしてくれました。
もちろんそれ専用のリールではありませんが,釣果には特に問題ありませんでしたよ。
また,このリールはバス釣りのリールとしても使用しています。
軽量化ボディは当然バス釣りでも通用しますし,PEラインを使用すればナイロンやフロロカーボンより細くて軽いので,安いリールでも飛距離が出せます。
ロッド:アブガルシア ホーネット デビルスナイパー681MH
リール:シマノ グラップラーBB 200HG
ライン:PE1.5号,リーダー16lb.フロロ 1m
このとき釣れたブラックバスは58cm 3.4kgでしたが,主導権を与えることなく余裕で釣り上げることが出来ましたので,それ以上のサイズでも問題ないと思います。
本機種を使用してどこまで大物を釣り上げることが出来るのか調査していくので,今後も随時情報を更新していきます。
いずれにせよ実売価格1万円少々のリールとしては,十分な性能ではないでしょうか。
まさにライトジギング用のエントリーモデルといえます。
なお,ジギングロッドにはスピニングタックルとベイトタックルがありますが,地方によって使われる割合が違います。
更に,船がスパンカーを使用して船をたてるか,ドテラ流しにするかによっても使用するタックルが変わってきます。
船がスパンカーを使用している場合は,操船によってメタルジグは真下に落ちるor潮の影響を受けるだけとなるため,底取りが早くて手返しが良く,フォール中にアタリが取りやすいベイトタックルの方が使いやすいです。
反対に,ドテラ流しの場合は,風と潮流によって船が流されやすく,ラインが斜めに出ていき,底取りがしにくいため,バックラッシュの心配がいらないスピニングタックルの方が使いやすいと言われています。
迷ったときは,乗合船の船長や地元の釣具屋のアドバイスに従うと良いと思います。
合わせて使用したいロッド
16グラップラーBB 200HGと合わせて使用して欲しいロッドは,「シマノ 16グラップラーBB B632」です。
そのタックルインプレッションはこちら。
ロッドとリールを合わせたときにデザインがしっくりきますし,バランスが良くてコストパフォーマンスに優れるのでオススメします。
釣行動画
16グラップラーBB 200HGを使ったヒットシーンや釣り方は,こちらの動画で紹介していますので是非ご覧下さい。
本機種を使用してどこまで大物を釣り上げることが出来るのか調査していくので,今後も随時情報を更新していきます。
リールのカスタムパーツ
グラップラーBBのダブルハンドルでは,150g以上のメタルジグを使用する際に巻き上げ力が不足していましたので,ハンドルを社外品の「」に交換しました。
詳しい記事はこちら
思った以上に見た目が上手く溶け込んでいますね。
ハンドル長は外側の穴に取り付けると75mm,内側の穴に取り付けると60mmになります。
75mmの方が巻き上げ力が強くなり,60mmの方が巻き上げ速度が早くなりますので,お好みで装着位置を決めると良いですよ。
また,社外品の場合は,シマノ用とダイワ用のどちらも取り扱っているため,正しい穴のサイズのカスタムパーツを購入する必要があります。
もちろん例外はありますが,多くのシマノのリールは7✕4mmで,ダイワのリールは8✕5mmです。
間違えると,取り付けることが出来ませんので,購入する前に確認した方が良いですよ。
グラップラーBBの場合は,7✕4mmの商品を購入しましょう。
ちなみに,シマノ純正カスタムパーツの「夢屋パワーバランスハンドル 65mm」を購入すれば,何も心配しなくても装着出来ますよ。
リールよりもハンドルの方が高くなってしまいますが…
まとめ
- ライトジギングリールのエントリーモデル
- CI4+の使用による高剛性軽量化の実現
- 厳選されたラインナップ
- 1万円前後の価格設定
- 実釣でもジャンルを問わず活躍中
いかがでしたか?
実売価格1万円台前半とエントリーモデルですが,大型魚にもしっかり対応出来るのが本機種ですので,これからライトジギングを始めようと思っている方にはロッドとセットでぜひオススメしたいリールです。
真鯛やタチウオがメインならこれで十分なスペックを有しています。
それだけでなく,バス釣りをメインでされている方にもオススメしたいリールです。これにPEライン1.5号を巻けばいわゆるロクマルと呼ばれる60cm以上のブラックバスでも問題なく釣れるはずです。
ただし,青物御三家(ヒラマサ・ブリ・カンパチ)に本気で挑む方には,ハイエンドモデルの「シマノ 17オシアジガー」か「ダイワ 15ソルティガ」をオススメします。
釣れないことはないと思いますが,青物相手には強度に不安が残りますので,出来るだけ高いリールを購入して下さい。
オフショアのライトジギングを始めたいけど,どれを選べばいいのか分からない方や「グラップラーBB」のタックルでみんなの評価や使用感はどうなのかな?という方には是非このリールで始めることをオススメしますよ。
大野
はじめまして。
突然のコメント失礼します。
最近グラップラーbb 200HGを買ったのですがPE1.5号を200m(シマノ タナトル4)巻いたのですが、どう見てもカタログ表記のように1.5号が290mも負けるように見えません。
管理人様も1.5号を巻かれたようですが何m巻かれたら教えていただけませんか?
よろしくお願いします。
おんきち
コメントありがとうございます。
私が使用しているグラップラーBBには,フロロカーボン6lbの下巻きの上にPE1.5号を200m巻いていますので,カタログ表記程度にはラインが巻けるように感じています。
ただし,PEラインはメーカーや商品によって,同じ号数に対するライン強度に違いがあります。
私が使用している,よつあみ G-soul スーパージグマンX4の1.5号が25lbに対し,大野様の使用されているシマノ タナトル4は31.7lbとかなりライン強度が高いので,ラインの太さについても異なる可能性があります。
また,Amazonのレビューを見たところ,シマノ タナトル4は太いという評価も一部ではありますので,製品の特性かもしれませんね。