今回は釣り道具のメンテナンスの話です。
皆さんは釣り道具のメンテナンスを行っていますか?
新しい釣り道具に興味はあっても,今持っている道具の手入れを怠っている人は少なくありません。
そこで今回は,日頃私が行っているリールのオーバーホールについて紹介したいと思います。
目次
オーバーホールとは?
近年,シマノやダイワといった日本を代表する釣り具メーカーのリールは,精巧なギアやベアリング等の部品が多数使用されており,それらが上手く噛み合うことで心地よい巻き心地や強力な巻き上げ力を発揮しており,精密機械と呼ばれるような製品に仕上がっています。
そういった理由から,リールは買った時が最も性能が高く,年数を重ねる毎に性能は低下していきます。
特に,回転する部品は常に金属同士が触れ合っているため消耗が激しく,歯車となるギアは削れ,回転軸となるベアリングは摩耗し,それらを保護する潤滑油のグリスは汚れていきます。
また,リール内部に使用される金属と水との相性は悪く,水分が内部に入ることでサビが発生し,金属部の劣化を引き起こします。
特に海水が内部に入ると,海水の水分が蒸発することで塩分が結晶化し,ギア部に残り続けることで塩ガミを引き起こし,最終的にゴリゴリとした巻き心地に変わっていきます。
釣りは使用する以上,常に水と接する機会があり,リールの性能低下は避けられない状況です。
そこで,性能が低下したリールには,分解・清掃し,適切なメンテナンスを施す必要があります。
このことをオーバーホールと呼びます。
特に,高価なリールは,精巧なギアと多くのベアリングが使用されることでシルキーな巻き心地に仕上がっているため,適切なオーバーホールは性能を買った時の状態を保ち,寿命を延ばすことに繋がることになり,定期的なメンテナンスを行うことが求められます。
オーバーホールの種類は?
リールのオーバーホールには,誰でも簡単出来る清掃や注油から,ちょっと気合を入れて行うリールの分解・内部の清掃・グリスアップ・ベアリングの注油,最後に行き着く部品の交換等があります。
初級編:清掃・注油
比較的簡単なリールのメンテナンスは,リールの清掃と注油ですね。
リール全体を水洗いした後,タオル等の布できれいに拭き,オイルを注入します。
簡単に出来て改善が分かるのは,スピニングリールのラインローラー,ギア,ハンドルの3箇所への注油ですね。
これだけでも十分な効果がみられ,リールを回してみると回転が滑らかになるのがよくわかります。
なお,シマノのリールには,シマノのオイルスプレーがあり,ダイワのリールには,ダイワのオイルスプレーがありますので,自分が持っているメーカーのオイルを使用してください。
釣具屋で簡単に買えるので,すぐに実践してみてください。
ちなみに釣具屋へ行くのが面倒な人は,ヘッジホッグスタジオというサイトからでも購入可能です。
金額の目安: 2,000~3,000円
メンテナンスの頻度:釣行毎~1ヶ月に1回程度
中級編:分解・内部の清掃・グリスアップ・ベアリングの注油
本格的なリールのメンテナンスとしては,リールの分解・内部の清掃・グリスアップがあげられます。
淡水のみで使用している場合は,ここまでのメンテナンスはあまり必要ありませんが,海水で使用している場合は,気づかない間にリールの内部まで海水が浸水し,潮が結晶化している場合があります。
ギア内部がそのような状態になると,塩噛みをしてリールの回転性能が著しく低下します。
最悪の場合,内部の金属部が錆びていることもあります。
リールを回したときにシャリシャリした音が出たら要注意です。
また,大物がかかり,ドラグの使用を重ねていくと,ドラグワッシャーのグリスが切れていることがあります。
あとは,ベアリングも使用を重ねていくと,オイル切れを起こしている可能性もありますね。
よって,定期的にリール内部の清掃・グリスアップ・注油をする必要があります。
必要な道具は精密ドライバー,レンチ,ピンセット,刷毛の4点とグリス各種とベアリング用のオイルです。
ベアリングへの注油方法は以下の記事を参考にしてください。
4点の道具はホームセンターで購入出来ますが,グリスとオイルは釣具屋で取り寄せ注文か通販サイトで購入するしかありません。
シマノのリールであれば,必要なグリスの種類は以下のとおりです。
※ス…スピニング ※ベ…ベイト
部品No. | 価格 (税抜) |
使用箇所 | ス | ベ |
---|---|---|---|---|
DG01 | ¥800 | フェルト(汎用スピニング)のドラグワッシャ 両軸リールのカーボンワッシャ スピニングリールのフリクションリング ベールの摺動部等 |
● | ● |
DG04 | ¥800 | 両軸全般のギヤ類 | ● | |
DG06 (DG10)※1 |
¥800 | 汎用スピニングのギヤ・ウォームシャフト類 各種ハンドル部 各種ベアリング・ARB類 |
● | ● |
DG12 | ¥800 | SWスピニングリールのドラグワッシャー | ● | |
DG13 | ¥1,000 | SWスピニングリールのギヤ・駆動部 | ● | |
DG18 (DG14) ※2 |
¥1,500 | スピニング全般のアームローラー | ● | |
OIL1 | ¥300 | ローラークラッチ部(スピニング) 遠心ブレーキのブレーキパイプ・ブレーキリング部 スプール軸部(全般)、ベアリング全般(全般)等々 |
● | ● |
OIL2 | ¥300 | ウォームシャフト(全般)、ベアリング(全般)等々 ベイトリールのスプール軸 外観部品の防錆用途(軸のカシメ部等) |
● | ● |
※1 DG10はDG06に変更になりました。
※2 DG14はDG18へ変更になりました。
例えば,スピニングリールのメンテナンスであればDG01とDG06 ,ベイトリール(両軸リール)であればDG01とDG04,DG06を購入するという具合です。
ただし,釣具屋での取り寄せすると,注文してから3~4日待ち,連絡が来てからまた釣具屋へ行く必要があるため,かなり面倒ですのであまりオススメ出来ません。
ヘッジホッグスタジオから必要な道具やグリスが揃うので,まだ持っていない人は利用することをオススメします。
金額の目安: 2,000~3,000円
メンテナンスの頻度:1ヶ月に1回~半年に1回程度
上級編:部品の交換
基本的には定期的なリールのグリスアップまですれば,リールの維持は出来ていると思います。
ですので,ここから先は自己満足の世界です。
長年リールを使用していると,どれだけメンテナンスをしてようがどうしても部品が劣化してきます。
大抵の人はこの時点で,新しいリールを購入するでしょう。
しかし,愛着のある今のリールを使用し続けたい人は,部品の交換をすることでリールは復活します。
リールの代表的な消耗品といえば,ギアとベアリング,ドラグワッシャーです。
新品のリールを購入した場合は,部品図が入っていますので,釣具屋で欲しい部品を注文すれば,取り寄せることが出来ます。
ただし,釣具屋での取り寄せすると,注文してから3~4日待ちは覚悟しましょう。
ちなみに,シマノのリールはすべての部品を注文することが出来ますが,ダイワのリールは基幹パーツは注文できないことがありますのでご注意下さい。
また,シマノやダイワの純正ベアリングは1個1,000円前後する高級品です。
全てのベアリングを交換しようとすると,4~10個も購入する必要がありますので,それだけで4,000円以上します。
そこまで高いと,新しいリールが買えてしまうので,ヘッジホッグスタジオやモノタロウというサイトで同じ規格の代用品を購入すれば,純正品より何割か安く購入出来ます。
金額の目安: 1,000~8,000円
メンテナンスの頻度:半年に1回~数年に1回程度
番外編:メーカーへオーバーホールの依頼
自分でメンテナンスをするのが面倒という人は,釣具屋へ行きメーカーへオーバーホールの依頼をして下さい。
また,電動リールを持っている人は,自分でオーバーホールするのはリスクが大きすぎるので,メーカーへ依頼することをオススメします。
リールを持って釣具屋へ行くとオーバーホールの希望コースを聞かれるので,予算に応じて選択するだけです。
注油くらいなら,2,100円からありますし,フルメンテナンスでも4,100円から最大で20,000円でやってくれます。
デメリットとして,メーカーへ預ける分それだけ時間がかかるので,そのリールを使って釣りへ行く機会が失われることが挙げられます。
どの釣りでもシーズンオフの期間がありますので,それを機にメーカーへ依頼するのもありかと思います。
金額の目安: 2,100~20,000円
メンテナンスの頻度:半年に1回~数年に1回程度
まとめ
- リールは買った時が最も性能が高い
- 性能の維持には定期的なメンテナンスが必要
- 清掃と注油は簡単で改善が分かりやすい
- こだわるなら内部清掃とグリスアップも
- 部品の交換は自己満足の世界
- 最終手段はメーカーへオーバーホールを依頼する
釣り道具は新製品が発売すると,期待してどんな性能か調べたり,釣り道具で触ってみたりしますが,いざ購入して使用し始めると,日頃のメンテナンスまでは気が回らないことが多いです。
せっかく高いお金を出して購入したのに,メンテナンスを疎かにして性能を発揮出来ていないのはもったいないので,是非リールのオーバーホールを実践してみて下さい。
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