皆さんこんにちは。
おんきちです。
今回は2019年に2年生苗として購入したブルーベリーのチャンドラーを,2019年から1年間庭で鉢植え栽培をした結果の成長記録を紹介します。
目次
チャンドラーは果実が特大粒で甘い品種
チャンドラーは,アメリカ連邦農務省が育種したノーザンハイブッシュブルーベリーです。
ノーザンハイブッシュ系統は寒冷地での栽培が適している
ノーザンハイブッシュ系統の特徴は,寒冷地に適した系統であり,果実が大きく,味と香りのよい品種が多くあるということです。
また,ラビットアイ系統より早く収穫出来るという特徴もあります。
残念ながら冬が温暖な地域では不向きで関東地方より北での栽培が適していますので,関東以南の地域ではそのまま育てるのは難しいようで自根ではなく,接木苗による栽培をする等の工夫が必要になります。
チャンドラーはノーザンハイブッシュ系統で最大の果実がとれる魅力ある品種
チャンドラーは1994年に発表された品種で,ノーザンハイブッシュ系統で最大の果実がとれ,果実品質が優れています。
そんなチャンドラーの苗木としての特徴は,
- 樹勢は旺盛
- 収穫時期が早い
- 比較的涼しい地域に向く
ということが挙げられます。
また,果実品質の特徴はというと,
- 特大粒
- 甘い
- 風味が良い
の4点が挙げられますね。
やはり特大粒で甘くて風味が良いところに目がいくかと思います。
同じノーザンハイブッシュ系統でも,育てるのは難しいという評価をされるスパルタンと比べても樹勢が強いため育てやすいという点も選びやすいですね。
しかし,最新品種と比べても,簡単に入手出来るにも関わらず,今でも果実のサイズが最大で,名前が知られている品種ですので,栽培してみる価値があります。
大関ナーセリーからの評価
日本国内での苗木販売会社である「大関ナーセリー」のホームページから引用すると,
成熟期 中生~晩生 6月下旬~7月上旬 樹姿 直立性 樹勢は旺盛 樹高は180cmくらい 樹は-15℃まで耐えることができます 果実 特大 果皮は明青色 果柄痕は小さく乾く 果実の硬さは中位 風味は良い 収穫量 安定して多い ◆アメリカ連邦農務省の育成。1994年に発表。
「ダロウ」と系統番号「M-23」との交配。
◆ノーザンハイブッシュブルーベリー
北海道、本州、九州の夏比較的涼しい地域に向きます。
◆特長
ノーザンハイブッシュブルーベリーの中で果実の大きさは最大です。
果実は特大粒で甘く、ジュージーで風味豊かなブルーベリーです。
また、収穫時期が長いことで、ホームガーデン等でたいへん人気があります。
栽培のポイント
・酸性土壌(pH4.5~5.2)を好みます。
・酸度未調整のピートモス等をたっぷり混ぜて、土壌改良をしてから植え付けてください。
・1品種でも自家受粉しますが、異なる品種をお近くに植え付けたほうが、いくぶん収量が増し、果実も大きくなり熟期も早まります。
ということで,大関ナーセリーのように最新品種を数多く取り揃えている種苗業者でも,果実品質は間違いありませんね。
また,チャンドラーはアメリカパテント(米国特許)品種でもなければ,日本国内の種苗法による登録品種でもない,一般品種です。
ということもあって,近所のホームセンターでも探せば大抵販売されているため入手しやすいというのも特徴ですね。
チャンドラーの2年生苗は簡単に入手出来た
私自身は2012年にブルーベリー栽培を始めた当初はラビットアイ系統からスタートしており,ノーザンハイブッシュ系統は2019年からの栽培です。
2012年当時,利用したのは近所のホームセンターで売れ残っていて安売りしていた苗木でしたが,今回は苗木屋から購入しようと思い,2019年2月に「大関ナーセリー」のオンラインストアを覗いてみたところ,時期が悪かったため売り切れとなっており,代わりにYahooショッピングに出店している「苗木部 花ひろばオンライン 」で在庫ありとなっていたので,購入することにしました。
すぐに注文したところ,問題なく届きました。
2019年2月に購入したチャンドラーの2年生苗が届く
2019年2月,「苗木部 花ひろばオンライン 」からチャンドラーの2年生接木苗が届きました。
チャンドラーは15㎝ポット仕立てで届き,苗木としては十分なサイズで送られてきており,根もしっかりと張っていました。
おそらくですが,2017年3月に接木をしたものを2018年10月に2年生苗として出荷していた苗の残りを2019年2月に購入しているはずですので,2019年3月以降は新3年生苗となるはずです。
届いたらまずは植え替え
そして,届いたらすぐに7号スリット鉢へ植え替えました。
植え替え時の用土は,ホームセンターで販売されていた「ブルーベリーの土」です。
この時期は,土のことをあまり深く考えていませんでしたので,そのまま使用できる簡単な用土を選んでいました。
そこへ肥料として,ハイポネックスのマグァンプK中粒を用土1Lあたり7.5g入れたものを用土として使用しました。
7号スリット鉢は約4.5Lで苗木の分を抜くと、用土は約4Lのため1鉢あたり約30g使用ということになります。
肥料に含まれる窒素成分量は約1.8gです。
水やりは自動潅水機におまかせ
また,水やりの間隔について言及していますが,これは自動潅水機であるタカギの「かんたん水やりタイマー」の設定を変更しているということです。
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栽培記録
2019年10月までは写真による記録がほとんどない
2019年2月から栽培を開始した2年生接木チャンドラーですが,残念ながら栽培記録を取るつもりがなかったため,写真による記録がほとんどありません。
なので2年生苗の栽培記録は軽く紹介しますね。
2月16日に枝を剪定
剪定方法はシンプル
2019年2月16日,チャンドラーの剪定をしました。
2年生苗の剪定方法は,シンプルです。
- 不要な枝を切る。(折れ枝,枯れ枝,爪楊枝より細い枝)
- 花芽を全て切る。
以上です。
4月1日に葉芽が展開し始める
2019年4月1日,チャンドラーは葉芽が展開し始めていました。
肥料はすべて緩効性化成肥料
チャンドラーへの施肥は1年間で3回しました。
2月,元肥としてマグァンプK中粒を30g
6月2日,1回目の追肥としてIB化成肥料を10g
7月7日,2回目の追肥としてIB化成肥料を10g
の合計50gです。
なお,マグァンプK中粒は,緩効性化成肥料といって,ゆっくりと効いていくよう設計された肥料です。
肥料成分は,N:P:K=6:40:6 です。
用土に混ぜるタイプの肥料ですので,元肥に向いています。
IB化成肥料も緩効性化成肥料です。
肥料成分は,N:P:K=10:10:10 です。
土の上に置いておくだけで,雨や灌水によって少しずつ溶け出すタイプの肥料ですので,元肥・追肥のどちらにも向いています。
つまり,1年間で与えた肥料に含まれる窒素成分量は約3.8gです。
なぜこのような施肥計画にしたかというと,ブルーベリーの栽培において,有機肥料か化成肥料のどちらが成長に適しているかを実験するため,
- 有機肥料を3回
- 緩効性化成肥料(IB化成肥料)を3回
- 緩効性化成肥料(マグァンプK中粒を1回+IB化成肥料を2回)
の3種類に施肥計画を分けて試してみたというわけです。
その中でチャンドラーは「3.緩効性化成肥料(マグァンプK中粒を1回+IB化成肥料を2回)」を採用して観察しました。
水やりの間隔
2019年における,水やりの間隔は以下のとおりです。
~3月2日,7日に1回2分間。
3月3日~8月9日,1日に1回2分間。
8月10日~9月14日,1日に2回2分間。
9月15日~10月29日,1日に1回5分間。
10月30日~12月6日,3日に1回5分間。
12月7日~,7日に1回5分間。
9月に10号スリット鉢へ鉢増し
2019年9月15日,チャンドラーの根が7号スリット鉢7割以上になっていましたので,10号スリット鉢へ鉢増ししました。
以下の栽培管理のページでも紹介していますが,ピートモス:もみ殻=1:1の配合です。
ブルーベリーの苗木を購入後の管理と年間栽培スケジュールについて
JAのカントリーエレベーターへ行けば,もみ殻は無料で手に入りましたので,ピートモスを購入すれば,2倍の用土を作れるということで経済的な観点でこの用土を選びました。
これなら用土10Lあたり約100円で作れるため経済的です。
そこへ肥料として,ハイポネックスのマグァンプK中粒を用土1Lあたり4g入れたものを用土として使用しました。
10号スリット鉢は約13.5Lで苗木の分を抜くと、用土は約10Lのため1鉢あたり約40g使用ということになります。
肥料に含まれる窒素成分量は約2.4gです。
10月に成長が止まる
2019年10月,チャンドラーの成長が止まりました。
ただし,鉢の下側の根は暑さが和らぐ9月から紅葉までが成長の期間ですので,おそらく1ヶ月間で十分に成長しているはずです。
ブルーベリーの様子
2019年2月から栽培し始めてから8ヶ月間が経過して成長したチャンドラーがこちら。(一部が見切れています)
2019年は日照不足による生育不良に悩まされた上,アブラムシやイラガ,コガネムシ類,ハマキムシといった害虫に成長を阻害された跡が見つかりました。
9月には7号スリット鉢7割まで根が張っており,苗のサイズは同時期に届いた3年生苗のブルーベリーと比べて枝の本数は少ないものの,太くて充実した枝でしたので,同程度から少し成長が遅れているといった状態でした。
2020年1月1日に枝を剪定
剪定方法はシンプル
2020年1月1日,チャンドラーの剪定をしました。
3年生苗の剪定方法は,以下の4点です。
- 不要な枝を切る。(折れ枝,枯れ枝,爪楊枝より細い枝)
- 勢いはあるけど邪魔な枝を切る。(内向きに伸びた枝,株の中心にある枝,重なってしまう枝)
- 勢いの弱いサッカーを切る
- 結果枝についた花芽を1枝あたり2~3個に調整。
以上です。
以下の写真は剪定後ですが,ほとんど余分な枝と呼べるものがなく,剪定は花芽の調整くらいでした。
その結果が下の写真です。
花芽は合計で13個に調整しました。
2月8日で1年を迎える
2020年2月8日,チャンドラーが15㎝ポット仕立てで届いてから約1年が経過しました。
ブルーベリーの様子
1年間で成長したチャンドラーがこちら。
1月に剪定してから変わっていませんね。
変わったところといえば,支柱の位置を変えたことくらいでしょうか。
せっかくなので,2019年4月の3年生苗となったばかりのチャンドラーと2020年4月に4年生苗となる直前のチャンドラーを比べてみましょう。
いかがでしょうか?
2019年には細くて弱々しい緑色の枝だったのが,しっかりと成長して太い幹となっています。
枝葉が充実しておらず成長に課題がみつかる
2年生苗を購入して栽培を開始しましたが,1シーズンで思ったより成長しなかったと思います。
2019年の栽培を通して課題が見えてきました。
害虫による成長阻害が目立った
まずは,害虫による成長阻害が大きかったことです。
2019年はアブラムシ,カイガラムシによる成長阻害と,ケムシ,イラガ,コガネムシ類成虫,ハマキムシによる葉の食害が目立ちました。
枝葉と根の成長が遅い
次に,肥料の課題です。
2019年は,有機肥料と化成肥料の効果の違いを調べるため,チャンドラーは全て緩効性化成肥料(マグァンプK中粒+IB化成肥料)を施肥してみたところ,苗の成長は悪く,根の成長スピードに不満が残りました。
有機肥料のみ与えたラビットアイ系のブライトウェル,IB化成肥料のみ与えたサザンハイブッシュ系よりも成長が遅れていました。
ノーザンハイブッシュ系のスパルタンも同様の栽培方法として成長に課題を残したため,肥料が問題として考えられます。
ひとまず,肥料による違いが根の成長に影響を与えていないか,2020年も引き続き調べていきます。
水やりの間隔が短く過湿気味だった
最後に水やりの間隔が全体的に短かったため,鉢内が過湿気味だったということが分かりました。
基本的な水やりとしては,鉢植えの表面が乾いたら,鉢底から水が流れ出るまでたっぷりとやるということですが,自動潅水機で水やりをする場合の間隔についてもう少し調べてから設定するべきでしたね。
以下はそれらの課題に対する対策です。
2020年に行った改善策
無農薬栽培にこだわる必要はない
害虫被害は苗の成長を大きく阻害することが分かりました。
その対策として,常に観察して害虫を取り除くという方法があります。
これが一番確実で安全なのは分かります。
しかし,私の場合は,実家で遠隔栽培をしていますので,上記の対策を取ることが出来ません。
また,出来たとしても多大な労力をかけて害虫対策をしたくはありません。
よって,農薬を定期的に散布することで同じ効果が得られるのであれば,そっちを選ぼうと思いました。
2020年の栽培計画のため噴霧器を購入
ということで,まず2019年10月に農薬を散布するための噴霧器を購入しました。
電動の噴霧器は楽みたいですが,高いしうるさいという評判だったため採用せず,安くて静かな蓄圧式噴霧器を選びました。
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害虫対策に農薬を順次購入
次に必要な農薬として以下の農薬を順次購入していきました。
農薬名 | 害虫名 | 希釈倍率 | 使用回数 | 使用可能日 |
ベニカ水溶剤 | アブラムシ | 2000倍 | 3回 | 収穫45日前まで |
オレート液剤 | アブラムシ | 100倍 | 回数制限なし | 収穫前日まで |
デルフィン顆粒水和剤 | イラガ | 1000倍 | 回数制限なし | 収穫前日まで |
マシン油乳剤 | カイガラムシ類 | 12~14倍 | 回数制限なし | なし |
ダイン(展着剤) | なし | 1Lに0.3ml | 回数制限なし | なし |
ダイアジノン粒剤5 | コガネムシ類幼虫 | なし | 2回 | 収穫14日前まで |
更に他の害虫が現れたときは,買い足していく予定です。
同じく緩効性化成肥料を主体とした施肥計画にした
2020年の施肥計画は、更に肥料の検証をするため、チャンドラーが2019年と同様に化成肥料を主体とした場合に,成長が変わらないかを確認することにしました。
鉢増し時に投入した,マグァンプK中粒
3月に元肥として,IB化成肥料
5月の追肥として,IB化成肥料
7月のお礼肥として、IB化成肥料
以上のような施肥計画に変更することにしました。
単純に樹勢の強さの違いと言ってしまえばそれまでですが,肥料の成分によって成長に差があると仮定し,2020年は化成肥料のみの場合と,有機肥料+化成肥料による成長の違いを見てみることにしました。
水やりの間隔は乾燥ぎみとなるように調整
2019年の水やりのスケジュールでは,水やりが過剰であったため鉢内が過湿気味だった反省を活かし,2020年の水やり間隔は乾燥ぎみとなって根の成長を促せるよう調整することにしました。
特に気温に応じて間隔をあけるようにするため,
- 最高気温が10℃未満は「7日に1回3分間」
- 最高気温が10℃以上は「3日に1回3分間」
- 最高気温が25℃以上は「2日に1回3分間」
- 最高気温が30℃以上は「1日に1回3分間」
- 最高気温が35℃以上は「1日に2回3分間」
という自動潅水機の水やり設定にしたいと思います。
まとめ
ブルーベリーのチャンドラー2年生苗を苗木屋のオンラインショップである「苗木部 花ひろばオンライン 」で購入し,庭で鉢植え栽培をした時の成長の様子を紹介しましたがいかがでしたか?
1年間で使用した肥料,水やりの間隔,用土の配合といった条件を紹介した上で,チャンドラーが1年間でどうやって成長していったか,気になる点はある程度理解出来たかと思います。
しかし,2019年は課題も多く,栽培方法を見直すべき部分が多かったのも事実です。
2020年の改善計画でチャンドラーは根の成長速度が増した
上記で改善策を考えた2020年の栽培計画を実行したところ,チャンドラーはそこそこ成長速度が早くなったかな,くらいに感じる程度でした。
詳細は次回の記事で書こうと思いますが,2020年10月に撮影したチャンドラーがこちらです。
いかがでしょうか?
鉢のサイズは10号スリット鉢から,直径45cmのナーセリーポットに植え替え,苗木は2020年2月の状態から大きく成長していますね。
また,根の成長スピードは改善され,10月で植え替えするときには10号スリット鉢いっぱいに根が張っていました。
根の成長速度が影響するのは用土かもしれない
同じノーザンハイブッシュ系のスパルタンでは,同じ栽培条件で根の成長速度と枝葉の成長はゆっくりのままでした。
サザンハイブッシュ系のミスティでも,水やりの間隔をあけて乾燥ぎみに育て,肥料は化成肥料をあげるという条件はそのままで,用土を「ブルーベリーの土」から「ピートモス:もみ殻=1:1の配合用土」に変えた結果,根の成長が促進しました。
よって,根の成長速度に影響を与えるのは用土かもしれませんね。
どちらにしても多少成長促進されたとはいえ,まだまだ枝葉が充実していないので,2021年の収穫は味見程度に控えようと思います。
チャンドラーの栽培は特大の果実を食べたい人にオススメ
チャンドラーは,ノーザンハイブッシュ系統で最大の果実がとれ,果実品質が優れています。
しかし,鉢植えで他の品種であれば上手く成長してくれる栽培方法ですが,チャンドラーは思ったより育っておらず,上手い栽培方法を見つけることが出来ていないため,これからブルーベリーを育ててみようと思う方には個人的にオススメ出来ない品種です。
やはりある程度経験を積んだ上で,上手く育たなかった時の改善方法を独自で模索できるような方で,それでも特大の果実を食べたい人にオススメします。
この記事を読んでみて,ブルーベリーのチャンドラーを育ててみようと思って貰えたら幸いです。
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