今回は釣り人にとって曖昧だけど気になる存在,釣りが上手い人を経済的な視点から考察していきます。
目次
上手い人とは誰かと比べて優れている人である
どんな世界でも上手い人や下手な人は存在します。
例えば,学問やスポーツ,経済の分野では上手い人ってどのような人なのでしょうか?
学問の世界
学問の世界では,試験の点数が良ければ頭が良い=勉強が上手い人と言えますよね。
競争倍率が高い受験を勝ち抜いて入学した難関大学生や,医師・弁護士・会計士・国家公務員試験等,難しい試験を突破した末に得られた資格は高学歴の象徴であり,勉強が得意な人として認識されています。
勉強が得意な人が急に頭が悪くなることは通常あり得ませんので,この世界は比較的世代交代が起こりにくいといえますね。
スポーツの世界
スポーツの世界では,大会等で競技をすれば優劣がはっきりと決まりますよね。
恵まれた才能の持ち主が長い年月をかけて努力をした人の一部のみが,プロの世界で活躍しています。
その下には数え切れない程の敗者が存在しており,一旦頂点に立ったとしても体力の衰え等により世代交代が起こりやすい,とても厳しい世界として認識されています。
経済の世界
経済の世界では,より多くの利益を出したものが勝者ですよね。
難関大学を突破して大企業に就職し,出世競争を勝ち抜いた末に掴み取った重役という方や,普通の会社員として就職してから大きく会社に貢献して重役にのし上がった方,
アイデア1つで成功した起業家,外資系金融でエリート街道を進んできた方,自営業の方が身一つで大きく利益を出すなど,様々な成功者のパターンがあります。
商売で大きく儲けることが出来れば商売上手と言われます。
ただし,一度でも失敗すると資産がなくなる恐れがあるため,成功すればするほど失敗ができなくなる恐れがありますね。
つまり,上手い人や下手な人と判断する材料は,誰かや何かと比べて優劣がつくことで決まるということですね。
それでは,釣りの世界で上手い人ってどのような人なのでしょうか?
釣りが上手い人とはたくさん魚を釣る人のことではない
先に結論から言いましょう。
釣りが上手い人とは,ズバリ漁師と遊漁船の船長です。
漁師は魚の売上だけで生活が出来るほどの黒字を出している人たちです。
遊漁船の船長もお客を船に乗せて釣りをしてもらって生活をしている人たちです。
そんな結論は卑怯だと言われようが,まず間違いなくこの人達は絶対的に釣りの世界での勝者です。
こんな人達に対して釣りが下手だと言える人は同業者以外にいないでしょう。
もし自信を持って自分の方が上手いと言える人がいるのなら,その人は漁師や遊漁船の船長を始めるべきです。
いわゆるプロと呼ばれる世界ですので,ここで活躍出来れば十分釣りが上手い人だといえます。
さて,それではなぜこのような結論に至ったかを説明していきます。
釣り人は常に大赤字
よく言われる釣りの上手い人といえば,周りで自分より多くの魚を釣る人ですよね。
釣り名人だと言われる人は,周りの人と比べて確かによく魚を釣っていると思います。
果たしてその人は本当の意味で釣りが上手いと言えるのでしょうか?
答えはノーです。
なぜなら,多く釣った人が,市場に魚を卸したとして,一体いくらのお金になると思いますか?
幻の高級魚だと言われるクエでさえ,キロ単価で7~10,000円です。
たまには釣れるかもしれませんが,毎回大量に釣れるような魚ではないからクエは高級魚なわけです。
それに比べ,自分の人件費を含めた釣行費用を計算すると,1回の釣行費用は5万円程かかっています。
この釣行費用の計算根拠は,私の記事で紹介しています。
周りから釣り名人だと言われる方の中で,一体どれだけの人が毎回5万円以上の魚を釣り上げているのでしょうか?
ちなみに5万円分の魚を市場の卸値で売るとどれくらいの量になるかと言うと,
ブリがキロ単価400~800円程度ですので62~125kg程度釣る必要があります。
真鯛ならキロ単価800~1,400円程度ですので35~62kg程度釣る必要があります。
高級魚とされるヒラメでさえ,キロ単価1,600~2,500円程度ですので20~31kg程度釣る必要があります。
さて,趣味で上手いとされる釣り人の中で,毎回これらの量をクリアして本当の意味で黒字にしている人はいるのでしょうか?
少なくとも私が知る限りではいません。
つまり,趣味として釣りをしている人は,ほぼ全員が大赤字です。
そんな中で,漁師の方や遊漁船の船長はどうでしょうか?
漁獲高から漁にかかる経費を差し引いた金額が黒字にしなければ生活することが出来ません。
遊漁船の方は,釣り人から乗船料を頂いて生活している人たちですが,乗船者に満足させるだけの釣果をもたらさなければ,長い期間黒字で経営していき,生活していくことは出来ません。
趣味として釣りをしている常に大赤字を出している人達に対して,漁師や遊漁船の船長から見れば,全員釣りが下手な人であると言えるのではないでしょうか?
つまり経済的な面で見れば釣り人は,下手な人達の集まりであるといえます。
釣りの上手い人に定義はない
釣り人に勝者がいないことが分かったところで,釣り人が嬉しいことや自慢したくなること,みんなに認められて上手い人と認識される共通点をあげていきましょう。
大きく分けると以下の3種類に分けられます。
- 大物を釣り上げる
- 大量に釣る
- 競技大会で優勝する
これらの人たちは客観的に見て本当に釣りが上手い人だと言えるのでしょうか?
順番にみていきましょう。
大物を釣り上げる
大物を釣ると釣り人は皆さん自慢されますよね。
釣り人が大物を釣った時は写真に撮ったり,魚拓をとったり,仲間におすそ分けや家に招いて一緒に食べたりといった行動をとります。
大物を釣った人として,釣りが上手い人と周りから言われるはずです。
しかし,魚の最大の大きさは魚種によって異なりますので,何cm,何kgの魚であれば大物という定義はありません。
ブラックバスであれば50cm以上が釣れればランカーサイズと呼ばれます。
シーバスであれば70cm以上がランカーサイズです。
ブリは80cm以上ないと大物とは呼ばれません。
マグロに至っては,1m以上で20kgでも小物として扱われる場合があります。
反対に,アユは30cmを超えると尺鮎と呼ばれますし,メバルも30cmで尺メバルと呼ばれます。
アオリイカは1kgを超えるとキロアップと呼ばれます。
このように,釣りのジャンルや魚種によっても大物の定義は変わってくるので,誰のどの基準が釣りの上手い人なのかは一概に言えることではありません。
大量に釣る
サイズは大きないものの,数がたくさん釣れた場合も釣りが上手い人という認識ですよね。
数釣りが多く出来るのは群れを作る回遊魚ですね。
例えばマアジやサバ,イサキ,ワカサギといった魚種は有名ですね。
小型の魚種だけでなく,マグロやカツオ,ブリも回遊魚です。
入れ食いになったときは,手返し良く釣りをしないと数多く釣れません。
マアジのサビキ釣りは,ずっと釣れ続けることがあり,エサがなくなるまでいかに効率よくアジを針から外すかということが重要になります。
小アジなら100匹以上釣ったところで,上手い人という認識にはならないのではないでしょうか。
また,沖のスルメイカ釣りや湖のワカサギ釣りはいかに効率よく手返し重視で釣りをするかで大きく釣果が変わってきます。
スルメイカ釣りなら100杯以上釣る人がいますし,ワカサギ釣りなら500匹以上釣る人すらいます。
反対に,金目鯛釣りのように1日の釣りで,投入回数が10回に満たないような釣りもあります。
1匹釣れただけでは効率が悪いので,何匹も多点がけして1回あたり10匹以上釣り上げるような釣りもあります。
金目鯛なら50匹も釣れれば大漁ですね。
カツオが入れ食いになることは,1本釣り漁をテレビ等で見たことがある人は知っていますよね。
カツオなら5本も釣れば満足できます。
このように,大物のときと同じく釣りのジャンルや魚種によっても大量の定義は変わってくるので,誰のどの基準が釣りの上手い人なのかは一概に言えることではありません。
競技大会で優勝する
これが最も分かりやすい指標ですね。
決められた条件,ルールをもとに競技を行い,勝ったものが上手い人といえます。
サイズなのか,重さなのか,1匹なのか,数匹の合計なのかは大会のルールによって異なります。
大会にはスポンサーがおり,釣り道具のメーカーを指定することがありますので,条件を一定に揃えることが出来ますよね。
ただし,競技大会は非常に限られた条件でしか優劣を決めることが出来ません。
鮎,筏釣り,キス,ブラックバス,ヘラブナ,磯釣り
思いつく限りではこのくらいでしょうか。
全国各地にある釣りを全て競技大会にすること等出来ることではありませんので,得意なジャンルの釣りがあっても大会がなければ上手いかどうか分からないようであれば指標としては不十分です。
釣りが上手い人という一つの目安とすることは出来ますが,少数のジャンル,限られた条件のみ分かる指標ですので,大会に優勝した,良い成績を残したというだけが釣りの全てではありませんよね。
釣りは楽しんだもの勝ち
上手い人の明確な基準がない以上,結局釣りを楽しめた人が一番上手い人だと言えませんか?
みんなが全く同じ環境で釣りをして上手いか下手か比較することはまず出来ません。
だったら自分が上手いのかを考えるよりも,釣りを楽しめているのかを考えるべきだと思います。
趣味として釣りをしている以上,黒字に出来ることはありません。
それなら誰よりも自分が釣りを楽しんでいることを追い求めてはいかがでしょうか?
そのためにも,何をもって釣りが楽しいのかを考え,目標を持ってみてください。
- 自分の釣りたい魚種の大物を釣り上げる
- とにかくたくさんの数を釣る
- 大会で活躍する
- 安い釣り道具で魚を釣る
- 自分だけの釣りポイントを見つける
- よく釣れる釣法を発見する
目標はどんなことでも良いです。
釣りにかかる費用を上回るだけの経験や,満足感を得られるように達成出来る目標を持ち,趣味としての釣りを楽しんで下さい。
まとめ
- 本当に釣りが上手い人達は漁師と遊漁船の船長
- 趣味の釣りは常に大赤字
- 釣りの上手い人に定義はない
- 釣りは楽しんだもの勝ち
釣りが上手い人は趣味の世界ではいないことがご理解頂けたでしょうか?
いかに自分が趣味としての釣りを楽しめるかということを突き詰めていけば,より人生を楽しめると思います。
私の記事が皆さんの参考にして頂ければ幸いです。
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