皆さんこんにちは。
おんきちです。
今回は2019年に3年生苗として購入したブルーベリーのフロリダスターを,1年間庭で鉢植え栽培をした結果の成長記録を紹介します。
目次
フロリダスターはサザンハイブッシュブルーベリーで他の品種との比較対象となる標準品種という特徴
フロリダスターは,アメリカのフロリダ大学が育種したサザンハイブッシュブルーベリーです。
サザンハイブッシュ系統は関東地方以西での栽培が適している
サザンハイブッシュブルーベリーは,ノーザンハイブッシュ系からつくられた新しい系統で,ノーザンハイブッシュ系よりも暑さに強く,成長が早い品種が多いという特徴を持っています。
また,ノーザンハイブッシュ系と同じく,果実が大きく,味と香りのよい品種が多くあり,ラビットアイ系より早く収穫出来るという特徴もあります。
冬が-10℃以下になる地域では,生育不良になるとのことで,関東地方以西での栽培が適しているようです。
サザンハイブッシュ系統は比較的新しい
樹勢が良いため成長が早く,収穫量が多いというメリットがありますが,最も古い品種の一つがシャープブルーという品種で,1975年に発表されており,比較的新しい系統です。
例えば,ノーザンハイブッシュ系統では,1936年に発表されたウェイマスがありますし,ラビットアイ系統では,1955年に発表されたホームベルがありますので,サザンハイブッシュ系統は20年以上新しい品種ですね。
つまりまだまだ完成された品種がないため,どんどん新しい品種が育種されており,発展途上の系統といったイメージです。
その中でフロリダスターは標準品種
その特徴は,アメリカで最新の品種を育種した際に比較対象となる標準品種であるということです。
よくサザンハイブッシュ系統の品種特性では「スターより何日早く果実が熟す」といった文言を見ます。
それほどスターはアメリカではメジャー品種ということですね。
なお,フロリダスターはアメリカでは「Star」という品種ですが,なぜフロリダスターというかというと,有限会社アルビックという会社が日本での品種総代理店となっており,商標登録をしているからみたいですね。
大関ナーセリーからの評価
日本国内での苗木販売元である「大関ナーセリー」のホームページから引用すると,
成熟期 早生 6月上旬~中旬 樹姿 低温要求量 400~500時間 半直立性 樹勢は中位 他家受粉 果実 大粒 果皮は暗青色 たいへん硬く、果柄痕の状態は良い 雨による裂果がみられるがオニールほどではない 収穫量 中程度 【 フロリダ大学 】
◆フロリダ大学の育成。1996年発表。
「FL80-31」と「オニール」との交配。
◆特長
サザンハイブッシュブルーベリーの品種特性比較の標準品種となっている。
世界中でたいへん多く栽培されている超人気品種!
栽培のポイント
・酸性土壌(pH4.5~5.2)を好みます。
・酸度未調整のピートモス等を十分に混ぜて、土壌改良をしてから植え付けてください。
・自家受粉しない品種が多いので、異なる品種をお近くに植え付けてください。
ということで,人気品種ということではありますが,最新品種と比べると,果実がすごく大きいとか,果実の品質が優れているとか,収穫量がとても多いといった際立った特徴というものはない品種ですね。
サザンハイブッシュ系統の標準品種として所有するというのが目的となる品種ではないでしょうか。
また,「大関ナーセリー」のホームページには記載されていませんが,フロリダスターは「スター」として2001年12月26日に日本国内で品種の出願申請をしていましたが,2006年9月12日に拒絶されており,品種登録はされていません。
品種登録されていないので国内法で保護されていない状態
よって,日本国内では種苗法によって正式に守られている品種というわけではありません。
ということで,日本国内の法律上は,ホームセンターで売っているような,ブルーベリーの無特許品種と同じ扱いということです。
誓約書が有効かどうか
ただし,2020年10月現在,「大関ナーセリー」で購入する際は,「誓約書への同意」が必要とされています。
誓約書の中には,増殖,転売,レンタル,譲渡しない,育種目的に使用しない,あらゆる知的所有権を獲得しないという文言が入っています。
さらに,上記に違反した場合は,「大関ナーセリー」が被った損害についての賠償金以外に,違反金として500万円を支払うこと,という文言が入っています。
ちなみに,品種登録をしていても,ここまでの制限が出来ると種苗法には記載されていません。
よって,誓約書に同意した購入者の方で何らかの違反が発覚し,会社から違約金の請求があった場合,個人と種苗メーカーとの契約ですので,誓約書が民法上有効かどうかということが争点となります。
仮に裁判で争った場合,違反金の部分が民法第90条の公序良俗に違反していると考えられるので,契約自体が無効と裁判所で判断される可能性があります。(あくまで個人的な見解です)
また,契約相手が農家ではなく,家庭菜園をしているような個人であるならば,消費者契約法第10条「消費者の利益を一方的に害する条項の無効」も適用される可能性がありますね。(あくまで個人的な見解です)
仮に誓約書が有効だとしても,種苗メーカーは利用料相当額の補償金までしか請求出来ないかと思います。(あくまで個人的な見解です)
独占禁止法に違反している可能性がある
正式に品種登録をして,種苗法に守られていれば独占権が与えられるため問題ありませんが,何も国内法において根拠がないにも関わらず,このような誓約をさせている状況は,独占禁止法第3条の「私的独占又は不当な取引制限の禁止」に違反している可能性がありますね。(あくまで個人的な見解です)
誓約書に違反しなければ気にする必要はない
とは言っても,誓約書に違反するようなことをしなければ,特に気にする必要はありませんよ。
私は実家の庭で趣味としてブルーベリー栽培をしているだけですので,1品種につき1本あれば十分です。
特に挿し木をして同じ品種を増殖するといった面倒で無駄なことをするくらいなら,しっかりと管理された最新品種の苗木を1品種につき1本ずつ購入した方がコスパが良いと思っています。(あくまで個人的な見解です)
ブルーベリーは他の果樹と比べても苗木が安いので,農家や苗木業者でもない限りあえて自家増殖をするまでもないと思います。
アメリカでは人気品種でも簡単に入手出来た
調べた結果,本場アメリカで標準品種とされているスターを私も育ててみたいと思い,注文しようと「大関ナーセリー」のオンラインストアを覗いてみたところ,2019年10月に3年生苗が在庫ありとなっており,すぐに注文しましたところ問題なく届きました。
2019年10月に購入したフロリダスターの3年生苗が届く
2019年10月,「大関ナーセリー」からフロリダスターの3年生苗木が届きました。
フロリダスターは18㎝ポット仕立てで届き,苗木としては2019年の日照不足を問題ともしないで十分なサイズで送られてきており,根もしっかりと張っていました。
届いたらまずは植え替え
そして,届いたらすぐに10号スリット鉢へ植え替えました。
植え替え時の用土は,以下の栽培管理のページで紹介していますが,ピートモス:もみ殻=1:1の配合です。
ブルーベリーの苗木を購入後の管理と年間栽培スケジュールについて
JAのカントリーエレベーターへ行けば,もみ殻は無料で手に入りましたので,ピートモスを購入すれば,2倍の用土を作れるということで経済的な観点でこの用土を選びました。
これなら用土10Lあたり約100円で作れるため経済的です。
そこへ肥料として,ハイポネックスのマグァンプK中粒を用土1Lあたり4g入れたものを用土として使用しました。
10号スリット鉢は約13.5Lで苗木の分を抜くと、用土は約10Lのため1鉢あたり約40g使用ということになります。
肥料に含まれる窒素成分量は約2.4gです。
水やりは自動潅水機におまかせ
また,成長記録の中で水やりの間隔について言及していますが,これは自動潅水機であるタカギの「かんたん水やりタイマー」の設定を変更しているということです。
っとまぁ長い前置きになりましたが,ここからがフロリダスターの成長記録です。
3年生苗フロリダスターの1年間の成長記録
サザンハイブッシュブルーベリーという系統の中で樹勢は中位という品種のフロリダスターは,在来品種と同じか少しだけ早く成長してくれました。
同時に栽培していた「大関ナーセリー」から届いた3年生苗木サザンハイブッシュ系のフリッカーの成長記録も併せて読んでみてください。
3年生苗ブルーベリーのフリッカーが1年間でどう成長していったか記録しました
1月1日に枝を剪定
剪定方法はシンプル
2020年1月1日,フロリダスターの剪定をしました。
3年生苗の剪定方法は,以下の4点です。
- 不要な枝を切る。(折れ枝,枯れ枝,爪楊枝より細い枝)
- 勢いはあるけど邪魔な枝を切る。(内向きに伸びた枝,株の中心にある枝,重なってしまう枝)
- 勢いの弱いサッカーを切る。
- 結果枝についた花芽を1枝あたり2~3個に調整。
以上です。
以下の写真は剪定後ですが,届いた苗木と比べるとさっぱりしているのが分かりますね。
花芽は合計で12個に調整しました。
剪定に使用した道具
剪定に使用した鋏は,「岡恒 剪定鋏 180mm NO.101」です。
ブルーベリーの枝であれば,太い幹以外の枝はこれで全て剪定出来ます。
そこへ鋏入れとして「岡恒 剪定皮サック 1丁入 No.108」があれば良いですね。
なんとなくメーカーを揃えたくなるので,私はこの際ということで買って使ってます。
あとは,枝の先端にある花芽を除去するために,小回りが効く「岡恒 芽切鋏 NO.304」もついでに購入して使っています。
最後に,剪定道具としては,3年生苗であればしばらく使用しませんが,主軸の更新用に小型のノコギリも必要になりますので,余裕があれば揃えておくと良いですね。
私が使用しているのは,「シルキーポケットボーイ 万能目 340-14」です。
このノコギリは小回りが効いてよく切れるので重宝しています。
水やりの間隔
水やりの間隔は7日に1回です。
2月8日に元肥を施肥
元肥は有機肥料
2020年2月8日,元肥としてプロトリーフ「ブルーベリーの肥料」を70gあげました。
これは,油かすやバットグアノといった有機肥料で作られたペレットタイプの肥料です。
肥料に含まれる窒素成分量は約2.1gです。
本来は3月上旬ですが,有機肥料は微生物に分解されてから効き始めるため,化成肥料と比べて1ヶ月程度早く,2月上旬に与えるようにしました。
ブルーベリーの様子
2月上旬ではまだ温かくなる季節ではないので,芽が動き始めるのはまだ先です。
水やりの間隔
水やりの間隔は変わらず7日に1回です。
3月7日に花芽が動き始める
2020年3月7日,他のブルーベリーに元肥としてIB化成肥料をあげるついでに記録しました。
ブルーベリーの様子
2月8日に与えた有機肥料は,しっかりと分解されており,ゆっくりと効き始めていました。
また,花芽が動き始めているのが分かりますね。もうすぐ萌芽といった様子です。
根も動き始めていると思います。
水やりの間隔
水やりの間隔は,3月6日まで「7日に1回3分間」でしたが,最高気温が10℃以上となったので3月7日から「3日に1回3分間」に変更しました。
次は,実家に撮影してもらったため,画像が荒くなります。
4月4日は開花していた
2020年4月4日,実家に撮影を協力してもらい,写真を送ってもらいました。
実家の人はスマートフォンの扱いに慣れておらず,LINEのアプリ上で撮影したため,写真の画像が荒いです。
分かる限りで観察しました。
ブルーベリーの様子
苗の様子は,花芽と葉芽が展開しており,休眠からしっかりと春の芽吹きが始まっていました。
画像からは見づらいですが,フロリダスターは開花しています。
フロリダスターの開花期は,「大関ナーセリー」のカタログに「4月7日~4月25日」と記載されていますので,2020年の暖冬で少し早くなっていましたね。
肥料も効いていて,水やりも問題ないと思います。
水やりの間隔
水やりの間隔は,変わらず「3日に1回3分間」です。
4月19日はアブラムシ対策に農薬を散布
アブラムシ対策の農薬はベニカ水溶剤
2020年4月19日,例年4月から大発生するアブラムシ対策として,農薬であるベニカ水溶剤を2000倍に希釈して散布しました。(1回目)
効果は雨にもよりますが30日程度です。
ブルーベリーの様子
苗の様子は,新梢が展開しており,しっかりと成長が確認出来ました。
また,フロリダスターの開花期は既に終わっており,受粉が完了した果実の花は落ちて柱頭は上を向いていました。
水やりの間隔
水やりの間隔は,「3日に1回3分間」です。
4月29日は苗の成長より果実の肥大化が顕著だった
2020年4月29日,雨除けハウスと防鳥ネットの骨組みとなるステンレスパイプを庭に打ち込む作業をしたついでに記録しました。
ブルーベリーの様子
4月19日から10日間しか間が空いていないため,苗の成長にあまり変化は感じられませんが,多少葉が増えていますね。
反対に果実は,着実に肥大化しており,既に品種特性でもある,スター状の萼(がく)が現れてきました。
フロリダスターの果実成熟期は,6月12~25日ですので,やはり果実の肥大速度は早いですね。
水やりの間隔
水やりの間隔は,4月28日までは「3日に1回3分間」でしたが,最高気温が25℃以上となったので4月29日に「2日に1回3分間」に変更しました。
5月9日は気温が上がり葉が生い茂り果実も充実してきた
2020年5月9日,フロリダスターへ1回目の追肥としてIB化成肥料を15gあげるとともに,雨除けハウスと防鳥ネットを設置作業をしました。
追肥は緩効性化成肥料
追肥としてあげたIB化成肥料は緩効性化成肥料です。
15gの肥料に含まれる窒素成分量は約1.5gです。
IB化成肥料の肥効期間は80日程度です。
雨除けハウスはブルーベリーの果実が裂果するのを防ぐため
雨除けハウスを設置した理由は,せっかく実った果実が梅雨によって水分を余分に吸収してしまい,裂果してしまう品種があるからです。(主にオニールとフロリダスターの対策です)
ブルーベリーは,元々アメリカで品種改良されており,6月の梅雨が存在しないため,収穫時期に雨による裂果を想定していません。
だから日本の気候に合わせて環境を整える必要があります。
防鳥ネットは野鳥に食べられないようにするため
防鳥ネットを設置した理由は,これから肥大化していく果実に合わせてやってくる野鳥対策です。
せっかく実った果実は,育てた人間よりも野鳥が先に見つけて食べられてしまうんですよね。
そこで,物理的に遮断してしまおうというわけです。
ブルーベリーの様子
下の写真は,雨除けハウス内に移動させる前に撮ったものです。
4月29日から10日間しか間が空いていませんが,雨がほとんど降らず,気温も25℃~30℃と上昇していたこともあってか,前回と比べると葉の量が増えており,確実に成長していました。
特に,主軸となる枝の途中に現れた1本の新梢が良いですね。
これからますます成長していきますよ。
また果実の方は,花芽の一部が大きくなっていただけだったのが,全体的に肥大化してきました。
収穫が非常に楽しみになってきましたよ。
水やりの間隔
水やりの間隔は,変わらず「2日に1回3分間」です。
フロリダスターの全体 フロリダスターの花芽
5月24日は果実の肥大化が進む
2020年5月24日,実家に撮影を協力してもらい,写真を送ってもらいました。
前回から実家の人にスマートフォンの扱いを教えておいたため,4月よりは鮮明な写真が送られてきました。
ブルーベリーの様子
分かる限りで観察したところ,5月9日から果実の肥大化は順調に進んでいるようです。
新梢が成長してきている影響で,徐々に果実の写真が撮りづらくなっています。
苗の成長と果実の肥大化が同時に観察出来ることはありがたいことですね。
水やりの間隔
水やりの間隔は,変わらず「2日に1回3分間」です。
5月30日はアブラムシ対策に農薬を散布し果実は色付く
アブラムシ対策の農薬はオレート液剤
2020年5月30日,4月19日に散布した農薬の効果が約30日経った頃に切れていたようで,新梢にアブラムシが発生していました。
残念ながらベニカ水溶剤はブルーベリーとしては収穫45日前までしか使用することが出来ませんので,アブラムシ対策としてオレート液剤を100倍に希釈して使用しました。(1回目)
オレート液剤は食品添加物に指定されているオレイン酸ナトリウムを主成分としており,害虫の呼吸器官である気門を封鎖することにより窒息死させるタイプの農薬です。
収穫前日まで大丈夫ですのでこの時期の使用としては安心ですね。
ブルーベリーの様子
5月9日から3週間が経過し,雨がほとんど降らず,気温も相変わらず25℃~30℃と成長には最もいい状態ですので,新梢が伸びて10号スリット鉢の外側へ枝が展開し始めました。
全体的にボリュームが増していますね。
肝心の果実はというと,ついに一部が色付いてきました。
収穫まであと少しといった状況です。
水やりの間隔
水やりの間隔は,「2日に1回3分間」です。
フロリダスターの全体 フロリダスターの花芽
6月6日は1回目の収穫
2020年6月6日,フロリダスターの1回目の収穫をしました。
収穫量は少なく,13gでした。
実家の人が収穫し,そのまま味見をしてもらいました。
味の感想は,「皮が柔らかく酸味が強い」とのことでした。
6月14日は2回目の収穫
2020年6月14日,ようやく私自身がフロリダスターの収穫をしました。
収穫量は,31gでした。
ブルーベリーの様子
5月30日から2週間が経過していますが,収穫期は苗の成長は一旦止まります。
ですので,前回と全体の様子を比較してもあまり変化がありませんでした。
その代わり,果実がどんどん色付き,数日おきに収穫することが出来ます。
フロリダスターは,雨除けハウス内に入れてありますので,雨による裂果を心配する必要はありません。
水やりの間隔
水やりの間隔は,変わらず「2日に1回3分間」です。
フロリダスターの全体 フロリダスターの花芽
6月21日は最後となる3回目の収穫
2020年6月21日,フロリダスターの3回目の収穫をしました。
これで最後の収穫となりました。
収穫量は,8gでした。(実家の人がデジタルスケールの見方を間違えていたようです)
実家の人が収穫し,そのまま味見をしてもらいました。
6月25日は45Φナーセリーポットへ鉢増し後にお礼肥と3種類の農薬を散布
2020年6月25日,収穫が終わったフロリダスターにとって,10号スリット鉢が窮屈になってきましたので,直径45cmのナーセリーポットへ鉢増し,3種類の農薬を散布した後,お礼肥として8-8-8普通化成肥料を20gあげました。
10号スリット鉢から45Φナーセリーポットへ鉢増し
根を確認すると,スリット鉢全体にまわっており,しっかりと成長が確認出来ました。
鉢増し時の用土は,変わらずピートモス:もみ殻=1:1の配合です。
直径45cmのナーセリーポットに用土を入れて,フロリダスターを乗せ,側面に用土を隙間なく詰め,支柱で枝を固定すれば完成です。
3種類の農薬はアブラムシ・イラガ・コガネムシ類の幼虫対策
鉢増しが終わると,3種類の農薬を散布しました。
1種類目は,5月にも使用したアブラムシ対策のオレート液剤(100倍希釈)です。(2回目)
2種類目は,イラガ対策として,収穫前日まで使用可能なデルフィン顆粒水和剤です。(1回目)
こちらは,有機農産物にも使用できる資材で,使用回数に制限がありませんので,1000倍に希釈して散布しました。
3種類目は,ブルーベリーの鉢植えとして天敵となる,コガネムシ類の幼虫対策として,ダイアジノン粒剤5です。(1回目)
こちらは,収穫14日前までですので,収穫前後のサザンハイブッシュとノーザンハイブッシュでは,違反とならないよう注意しながら散布しました。
フロリダスターとしては,収穫が終わったところで注意する必要はありませんので問題なく散布しました。
梅雨のこの時期は成長が一旦ストップしていますので,梅雨明けから再開する急成長のためにしっかりとここで農薬を散布することで,害虫の被害にあうことなく成長することが出来ます。
2回目の追肥は普通化成肥料
お礼肥となる2回目の追肥としてあげた8-8-8普通化成肥料は速効性化成肥料です。
20gの肥料に含まれる窒素成分量は約1.6gです。
フロリダスターの苗木が果実の生産によって体力が低下しており,すぐに肥料を吸収して樹勢を回復させたいので,緩効性化成肥料ではなく速攻性化成肥料をあげました。
ブルーベリーの様子
6月14日から約10日が経過していますが,やはり苗の成長は一旦止まっていますが,よく観察すると5月9日に確認できた主軸の新梢が太くて立派な枝に成長していますね。
収穫が終わったここから秋までは,光合成で作った栄養を全て苗木の成長に注ぐことが出来るので,見違えるような成長が期待できますよ。
水やりの間隔
水やりの間隔は,6月24日まで「2日に1回3分間」でしたが,軽い水枯れの症状を見せた鉢があったので6月25日から「2日に1回5分間」に変更しました。
7月18日は雨除けハウスと防鳥ネットを外し寒冷紗を設置
2020年7月18日,雨除けハウスと防鳥ネットを外し(設置期間:5月9日~7月18日),寒冷紗を設置しました。
寒冷紗は真夏の強すぎる日ざしからブルーベリーを守るため
寒冷紗を設置した理由は,ハイブッシュ系統のブルーベリーにとって,真夏の強すぎる日ざしは,葉っぱが焼けてしまう原因となるからです。
夏の強い日ざしは,葉焼けだけでなく,葉の温度上昇による光合成効率低下の原因ともなりますので,遮光率20%程度の白色寒冷紗で樹を覆うと,樹勢が維持されることが期待できます。
よって,元々暑さに強いラビットアイブルーベリー系統はそのままにし,サザンハイブッシュとノーザンハイブッシュ系統の品種のみ,寒冷紗の下で栽培しました。
7月24日はフロリダスターの二次伸長が始まっていた
2020年7月24日,フロリダスターは二次伸長が始まり急成長していました。
ブルーベリーの様子
2020年は7月の天気が非常に悪く,曇りと雨ばかりでしたので,日照不足が懸念されましたが問題なく成長していて安心しました。
下の写真で黄緑色の葉は二次伸長で発生したもので,新梢も元気に展開しており,非常に元気な苗です。
収穫後からすっかり樹勢は回復したようですね。
ただし,他のブルーベリーで多少害虫に葉を食害されているのと,葉が黒くなっている部分もありました。
害虫の正体はコガネムシ類の成虫です。
この時期になるとどうしても発生してしまいますが,遠隔栽培している以上は多少の食害は我慢しないといけません。
先月末にダイアジノン粒剤5を散布しているので,おそらく鉢内に産卵しても問題ないでしょう。
水やりの間隔
水やりの間隔は,7月20日までは「2日に1回5分間」で,最高気温が30℃以上となったので7月21日から「1日に1回5分間」に変更しました。
8月15日はIB化成肥料を3回目の追肥と2種類の農薬を散布
3回目の追肥は緩効性化成肥料
2020年8月15日,フロリダスターに2020年最後となる3回目の追肥としてIB化成肥料を15gあげました。
肥料に含まれる窒素成分量は約1.5gです。
2種類の農薬はアブラムシとイラガ対策
その後,2種類の農薬を散布しました。
1種類目は4月にも使用したアブラムシ対策のベニカ水溶剤(2000倍希釈)です。(2回目)
2種類目は6月にも使用したイラガ対策のデルフィン顆粒水和剤(1000倍希釈)です。(2回目)
ブルーベリーの様子
また,前回の記録から3週間あきましたがしっかりと成長していました。
2020年は7月の天候不順から一転して8月は雨が2日間しかなく,8月9日から8月31日までの23日間で35℃超えの猛暑日が19日間観測されるほどの好天となり,ブルーベリーにとっては厳しい季節ですが,水枯れすることがなく新梢が萎れなければどんどん成長していきます。
フロリダスターの株元からは元気なシュートが4本発生しています。
冬の剪定でここから将来の主軸を2本程度選びたいと思います。
もう十分立派な樹に成長しています。
水やりの間隔
水やりの間隔は,8月9日までは「1日に1回5分間」でしたが,最高気温が35℃以上となったので8月10日から「1日に2回5分間」に変更しました。
9月12日は寒冷紗を外した
2020年9月12日,実家の人にお願いして,寒冷紗を外してもらいました。(設置期間:7月18日~9月12日)
水やりの間隔
水やりの間隔は,9月11日までは「1日に2回5分間」でしたが,9月12日に最高気温が35℃未満となっていたので「1日に1回5分間」に変更しました。
9月19日は2種類の農薬を散布
農薬はアブラムシとイラガ対策
2020年9月19日,2種類の農薬を散布しました。
1種類目は8月にも使用したアブラムシ対策のベニカ水溶剤(2000倍希釈)です。(3回目)
2種類目も同じく8月にも使用したイラガ対策のデルフィン顆粒水和剤(1000倍希釈)です。(3回目)
ブルーベリーの様子
また,前回の記録から約1ヶ月間あきましたがしっかりと成長していました。
天候としては,8月の猛暑日は和らぎ,30~35℃までの真夏日が続いており,ブルーベリーが成長するためには最も良い環境といえます。
フロリダスターを観察すると,夏から続いていた急成長は止まることなく,4本のシュートはしっかりと成長しており,全体的にボリュームが増していました。
水やりの間隔
水やりの間隔は,9月18日までは「1日に1回5分間」でしたが,9月18日に最高気温が30℃未満となっていたので9月19日から「2日に1回5分間」に変更しました。
10月16日は成長が止まった様子
2020年10月16日,フロリダスターが18㎝ポット仕立てで届いてから約1年間経過しました。
ブルーベリーの様子
1年間で成長したフロリダスターがこちら。
6月の収穫後から9月まで勢い良く成長していましたが,10月16日時点で成長が止まっていました。
ただし,鉢の下側の根は暑さが和らぐ9月から紅葉までが成長の期間ですので,おそらく1ヶ月間で十分に成長しているはずです。
水やりの間隔
水やりの間隔は,10月15日までは「2日に1回5分間」でしたが,最高気温が25℃未満となっていたので10月16日から「3日に1回5分間」に変更しました。
まとめ
ブルーベリーのフロリダスター3年生苗を購入して,庭で鉢植え栽培をした時の成長の様子を紹介しましたがいかがでしたか?
1年間の作業内容と,使用した農薬・肥料,水やりの間隔,用土の配合といった条件を紹介した上で,フロリダスターが1年間でどうやって成長していったか,気になる点は大体理解出来たかと思います。
果実の収穫量
フロリダスターの収穫量は,
6月6日,13g
6月14日,31g
6月21日,8g
で合計52gでした。
3年生苗を購入した翌年の収穫量としては,味見程度の量で物足りなく感じますが,その分立派な樹に成長しましたので,来年の収穫量に期待ですね。
1年間の肥料に含まれる窒素量
なお、1年間で与えた肥料の合計窒素含有量は約9.1gです。
短い期間で成長したため鉢増しをした結果多めに肥料をあげましたが、3年生苗に与える年間の合計窒素含有量は4~8gですので、途中で鉢増しをしないのであれば3回目の追肥は必要ないですね。
在来品種と比較すると成長は少し早い
せっかくなので,2019年10月に届いたばかりの3年生苗と2020年の4年生苗となったフロリダスターを比べてみましょう。
2019年10月に届いた3年生フロリダスター(中央の苗木) 2020年10月16日に撮影した4年生フロリダスター
思った以上に立派な樹になったと思いませんか?
同じ4年生苗のサザンハイブッシュ系統であるオニールがありますので,2019年の3年生苗と1年後の様子を比較してみましょう。
2019年10月に撮影した3年生オニール 2020年10月16日に撮影した4年生オニール
どうでしょうか?
4年生オニールは,2019年の初めから栽培しているため,2019年10月当初は間違いなくオニールの方が大きかったのですが,2020年10月時点で比較すると,多少フロリダスターが負けていますが,成長速度自体はフロリダスターの方が早いように感じます。
オニールの成長記録はこちらです。
3年生苗ブルーベリーのオニールが1年間でどう成長していったか記録しました
樹勢は中位という「大関ナーセリー」の評価は,在来品種と比較すると,同程度か少し成長が早いということのようですね。
3年生苗で購入という選択も悪くない
「大関ナーセリー」で2年生苗と3年生苗との価格差は1,000円程度ですし,少量であれば翌年から収穫することが出来ますので,早く収穫したいということであれば3年生苗を購入することも選択肢として悪くないと思います。
この記事を読んでみて,ブルーベリーのフロリダスターを育ててみようと思って貰えたら幸いです。
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