皆さんこんにちは。
おんきちです。
今回は2019年に3年生苗として購入したブルーベリーのフリッカーを,1年間庭で鉢植え栽培をした結果の成長記録を紹介します。
目次
フリッカーは低温要求量が少なくて果実が大粒で鉢植え栽培向きという特徴
フリッカーは,アメリカのフロリダ大学が育種したサザンハイブッシュブルーベリーです。
サザンハイブッシュ系統は関東地方以西での栽培が適している
サザンハイブッシュブルーベリーは,ノーザンハイブッシュ系からつくられた新しい系統で,ノーザンハイブッシュ系よりも暑さに強く,成長が早い品種が多いという特徴を持っています。
また,ノーザンハイブッシュ系と同じく,果実が大きく,味と香りのよい品種が多くあり,ラビットアイ系より早く収穫出来るという特徴もあります。
冬が-10℃以下になる地域では,生育不良になるとのことで,関東地方以西での栽培が適しているようです。
サザンハイブッシュ系統は比較的新しい
樹勢が良いため成長が早く,収穫量が多いというメリットがありますが,最も古い品種の一つがシャープブルーという品種で,1975年に発表されており,比較的新しい系統です。
例えば,ノーザンハイブッシュ系統では,1936年に発表されたウェイマスがありますし,ラビットアイ系統では,1955年に発表されたホームベルがありますので,サザンハイブッシュ系統は20年以上新しい品種ですね。
つまりまだまだ完成された品種がないため,どんどん新しい品種が育種されており,発展途上の系統といったイメージです。
フリッカーの特徴は大粒で鉢植え栽培向き
フリッカーの特徴は,たくさんあります。
苗木としての特徴は,
- 低温要求量が少ない
- 樹勢が良い
- 収穫量が多い
- 鉢植え栽培向き
ということが挙げられます。
また果実品質の特徴は,
- 大粒
- 硬い
- 酸味と甘味のバランスが良い
- 生食でもジャム等の加工にしても良い
の4点が挙げられますね。
ということで,サザンハイブッシュ系統を鉢植えで育てるのであれば,候補として抑えておきたい品種です。
大関ナーセリーからの評価
日本国内での苗木販売元である「大関ナーセリー」のホームページから引用すると,
成熟期 早生 6月上旬~中旬 樹姿 直立~開張性 樹勢は非常に良い 低温要求時間は100~200時間 他家受粉 果実 大粒 明るい青色 果柄痕は良い 風味は良い 樹で果実がよく保たれる 収穫量 多い 【 フロリダ大学 日本総代理店契約品種 Exclusive License 】
アメリカパテント(米国特許)品種 PP21554
◆フロリダ大学の育成。2010年発表。
「FL93-51」と「FL93-46」との交配。
◆サザンハイブッシュブルーベリー
東北南部から四国、九州、沖縄までの、寒冷地を除く地域に向きます。
◆特長
フリッカーは低温要求量が少なく、樹勢が良い。果実は非常に大粒で、硬く、甘さと程よい酸味があり、生果用、
加工用どちらにも適する。
果実は熟してもしっかりと樹に付いていて、収穫後の日持ちもたいへん良い。また、鉢植え栽培に向きます。
フロリダ北部では、4月中旬~5月上旬に果実を付ける。
「Star」よりも樹勢が良く、収量も高くなる可能性を持つこの新品種は重要です。
栽培のポイント
・酸性土壌(pH4.5~5.2)を好みます。
・酸度未調整のピートモス等を十分に混ぜて、土壌改良をしてから植え付けてください。
・自家受粉しない品種が多いので、異なる品種をお近くに植え付けてください。
ということで,アメリカでサザンハイブッシュ系統の標準品種となっている,フロリダスターよりも樹勢と収穫量が高いという点が評価されているようです。
また,「大関ナーセリー」のホームページにも記載されているとおり,フリッカーはアメリカパテント(米国特許)品種ですが,日本国内では品種の出願申請をしていません。
品種登録されていないので国内法で保護されていない状態
よって,日本国内では種苗法によって正式に守られている登録品種というわけではありません。
ということで,日本国内の法律上は,ホームセンターで売っているような,ブルーベリーの一般品種と同じ扱いということです。
誓約書が有効かどうか
ただし,2020年10月現在,「大関ナーセリー」で購入する際は,「誓約書への同意」が必要とされています。
誓約書の中には,増殖,転売,レンタル,譲渡しない,育種目的に使用しない,あらゆる知的所有権を獲得しないという文言が入っています。
さらに,上記に違反した場合は,「大関ナーセリー」が被った損害についての賠償金以外に,違反金として500万円を支払うこと,という文言が入っています。
ちなみに,品種登録をしていても,ここまでの制限が出来ると種苗法には記載されていません。
よって,誓約書に同意した購入者の方で何らかの違反が発覚し,会社から違約金の請求があった場合,個人と種苗メーカーとの契約ですので,誓約書が民法上有効かどうかということが争点となります。
仮に裁判で争った場合,違反金の部分が民法第90条の公序良俗に違反していると考えられるので,契約自体が無効と裁判所で判断される可能性があります。(あくまで個人的な見解です)
また,契約相手が農家ではなく,家庭菜園をしているような個人であるならば,消費者契約法第10条「消費者の利益を一方的に害する条項の無効」も適用される可能性がありますね。(あくまで個人的な見解です)
仮に誓約書が有効だとしても,種苗メーカーは利用料相当額の補償金までしか請求出来ないかと思います。(あくまで個人的な見解です)
独占禁止法に違反している可能性がある
正式に品種登録をして,種苗法に守られていれば独占権が与えられるため問題ありませんが,何も国内法において根拠がないにも関わらず,一般品種に対してこのような誓約をさせている状況は,独占禁止法第3条の「私的独占又は不当な取引制限の禁止」に違反している可能性がありますね。(あくまで個人的な見解です)
誓約書に違反しなければ気にする必要はない
とは言っても,誓約書に違反するようなことをしなければ,特に気にする必要はありませんよ。
私は実家の庭で趣味としてブルーベリー栽培をしているだけですので,1品種につき1本あれば十分です。
特に挿し木をして同じ品種を増殖するといった面倒で無駄なことをするくらいなら,しっかりと管理された最新品種の苗木を1品種につき1本ずつ購入した方がコスパが良いと思っています。(あくまで個人的な見解です)
ブルーベリーは他の果樹と比べても苗木が安いので,農家や苗木業者でもない限りあえて自家増殖をするまでもないと思います。
フリッカーの3年生苗は簡単に入手出来た
調べた結果,鉢植え栽培に適しているという点と収穫量の多さに魅力を感じ,私も育ててみたいと思い,注文しようと「大関ナーセリー」のオンラインストアを覗いてみたところ,2019年10月に3年生苗が在庫ありとなっており,すぐに注文しましたところ問題なく届きました。
2019年10月に購入したフリッカーの3年生苗が届く
2019年10月,「大関ナーセリー」からフリッカーの3年生苗木が届きました。
フリッカーは18㎝ポット仕立てで届き,苗木としては2019年の日照不足を問題ともしないで十分なサイズで送られてきており,根もしっかりと張っていました。
届いたらまずは植え替え
そして,届いたらすぐに10号スリット鉢へ植え替えました。
植え替え時の用土は,以下の栽培管理のページで紹介していますが,ピートモス:もみ殻=1:1の配合です。
ブルーベリーの苗木を購入後の管理と年間栽培スケジュールについて
JAのカントリーエレベーターへ行けば,もみ殻は無料で手に入りましたので,ピートモスを購入すれば,2倍の用土を作れるということで経済的な観点でこの用土を選びました。
これなら用土10Lあたり約100円で作れるため経済的です。
そこへ肥料として,ハイポネックスのマグァンプK中粒を用土1Lあたり4g入れたものを用土として使用しました。
10号スリット鉢は約13.5Lで苗木の分を抜くと、用土は約10Lのため1鉢あたり約40g使用ということになります。
肥料に含まれる窒素成分量は約2.4gです。
水やりは自動潅水機におまかせ
また,成長記録の中で水やりの間隔について言及していますが,これは自動潅水機であるタカギの「かんたん水やりタイマー」の設定を変更しているということです。
っとまぁ長い前置きになりましたが,ここからがフリッカーの成長記録です。
3年生苗フリッカーの1年間の成長記録
サザンハイブッシュブルーベリーという系統の中で樹勢は非常に良いという評価だけのことはあり、フリッカーは標準品種のフロリダスターより大きく成長してくれました。
1月1日に枝を剪定
剪定方法はシンプル
2020年1月1日,フリッカーの剪定をしました。
3年生苗の剪定方法は,以下の4点です。
- 不要な枝を切る。(折れ枝,枯れ枝,爪楊枝より細い枝)
- 勢いはあるけど邪魔な枝を切る。(内向きに伸びた枝,株の中心にある枝,重なってしまう枝)
- 勢いの弱いサッカーを切る。
- 結果枝についた花芽を1枝あたり2~3個に調整。
以上です。
以下の写真は剪定後ですが,届いた苗木と比べるとさっぱりしているのが分かりますね。
花芽は合計で14個に調整しました。
剪定に使用した道具
剪定に使用した鋏は,「岡恒 剪定鋏 180mm NO.101」です。
ブルーベリーの枝であれば,太い幹以外の枝はこれで全て剪定出来ます。
そこへ鋏入れとして「岡恒 剪定皮サック 1丁入 No.108」があれば良いですね。
なんとなくメーカーを揃えたくなるので,私はこの際ということで買って使ってます。
あとは,枝の先端にある花芽を除去するために,小回りが効く「岡恒 芽切鋏 NO.304」もついでに購入して使っています。
最後に,剪定道具としては,3年生苗であればしばらく使用しませんが,主軸の更新用に小型のノコギリも必要になりますので,余裕があれば揃えておくと良いですね。
私が使用しているのは,「シルキーポケットボーイ 万能目 340-14」です。
このノコギリは小回りが効いてよく切れるので重宝しています。
水やりの間隔
水やりの間隔は7日に1回です。
2月8日に元肥を施肥
元肥は有機肥料
2020年2月8日,元肥としてプロトリーフ「ブルーベリーの肥料」を70gあげました。
これは,油かすやバットグアノといった有機肥料で作られたペレットタイプの肥料です。
肥料に含まれる窒素成分量は約2.1gです。
本来は3月上旬ですが,有機肥料は微生物に分解されてから効き始めるため,化成肥料と比べて1ヶ月程度早く,2月上旬に与えるようにしました。
ブルーベリーの様子
2月上旬ではまだ温かくなる季節ではないので,芽が動き始めるのはまだ先です。
水やりの間隔
水やりの間隔は変わらず7日に1回です。
3月7日に葉芽が動き始める
2020年3月7日,他のブルーベリーに元肥としてIB化成肥料をあげるついでに記録しました。
ブルーベリーの様子
2月8日に与えた有機肥料は,しっかりと分解されており,ゆっくりと効き始めていました。
また,花芽よりも先に葉芽が動き始めてきました。
もうすぐ萌芽といった様子です。
根も動き始めていると思います。
水やりの間隔
水やりの間隔は,3月6日まで「7日に1回3分間」でしたが,最高気温が10℃以上となったので3月7日から「3日に1回3分間」に変更しました。
次は,実家に撮影してもらったため,画像が荒くなります。
4月4日は葉芽が展開していた
2020年4月4日,実家に撮影を協力してもらい,写真を送ってもらいました。
実家の人はスマートフォンの扱いに慣れておらず,LINEのアプリ上で撮影したため,写真の画像が荒いです。
分かる限りで観察しました。
ブルーベリーの様子
苗の様子は,葉芽が展開しており,休眠から目覚めて春の芽吹きが始まっていました。
画像からは判断が難しく,フリッカーが開花しているか確認出来ませんでした。
フリッカーの開花期は,「大関ナーセリー」のカタログに「4月10日~4月23日」と記載されていますので,まだ開花していなくてもおかしくはありませんが,2020年は暖冬の影響で全体的に開花期が早まっていたので心配ではありました。
ただし,成長はしっかりとしているため,肥料も効いていて,水やりも問題ないと思います。
水やりの間隔
水やりの間隔は,変わらず「3日に1回3分間」です。
4月19日はアブラムシ対策に農薬を散布
アブラムシ対策の農薬はベニカ水溶剤
2020年4月19日,例年4月から大発生するアブラムシ対策として,農薬であるベニカ水溶剤を2000倍に希釈して散布しました。(1回目)
効果は雨にもよりますが30日程度です。
ブルーベリーの様子
苗の様子は,新梢が展開しているのと,左側の鉢から複数のサッカーが発生しており,樹勢の良さがすでに発揮されていました。
また,フリッカーの開花期は既に終わっており,うまく受粉が出来なかったのか果実の花は落ちているものの柱頭は下を向いていました。
水やりの間隔
水やりの間隔は,「3日に1回3分間」です。
4月29日は一部の花芽が今更開花していて不自然だった
2020年4月29日,雨除けハウスと防鳥ネットの骨組みとなるステンレスパイプを庭に打ち込む作業をしたついでに記録しました。
ブルーベリーの様子
4月19日から10日間しか間が空いていませんが,苗は成長しており全体的に枝葉が増え,ボリュームが増していました。
また,既にフリッカーの開花期は過ぎていましたが,なぜか一部の花芽が開花しており,不自然な成長をしていました。
残念ながら,サザンハイブッシュ系統の開花期は全て終了していたため,これらの花も受粉することはないですね。
さらに開花済みの花芽は,やはり受粉をしていなかったのか,果実が肥大化することはなく,中身のないものとなっていました。
この時点でフリッカーの収穫は絶望的となりました。
水やりの間隔
水やりの間隔は,4月28日までは「3日に1回3分間」でしたが,最高気温が25℃以上となったので4月29日に「2日に1回3分間」に変更しました。
5月9日は気温が上がり葉が生い茂り始めた
2020年5月9日,フリッカーへ1回目の追肥としてIB化成肥料を15gあげるとともに,雨除けハウスと防鳥ネットを設置作業をしました。
追肥は緩効性化成肥料
追肥としてあげたIB化成肥料は緩効性化成肥料です。
15gの肥料に含まれる窒素成分量は約1.5gです。
IB化成肥料の肥効期間は80日程度です。
雨除けハウスはブルーベリーの果実が裂果するのを防ぐため
雨除けハウスの設置した理由は,せっかく実った果実が梅雨によって水分を余分に吸収してしまい,裂果してしまう品種があるからです。(主にオニールとフロリダスターの対策ですのでフリッカーは問題ないみたいです)
ブルーベリーは,元々アメリカで品種改良されており,6月の梅雨が存在しないため,収穫時期の雨による裂果を想定していません。
だから日本の気候に合わせて環境を整える必要があります。
防鳥ネットは野鳥に食べられないようにするため
防鳥ネットを設置した理由は,これから肥大化していく果実に合わせてやってくる野鳥対策です。
せっかく実った果実は,育てた人間よりも野鳥が先に見つけて食べられてしまうんですよね。
そこで,物理的に遮断してしまおうというわけです。
ブルーベリーの様子
下の写真は,雨除けハウス内に移動させる前に撮ったものです。
4月29日から10日間しか間が空いていませんが,雨がほとんど降らず,気温も25℃~30℃と上昇していたこともあってか,前回と比べると葉の量が増えており,確実に成長していました。
また,4月は若い葉っぱでしたので黄緑色をしていましたが,濃い緑色に変化していました。
5月のGWを過ぎているにも関わらず,花芽は開花していました。
ちょっと原因が分からないですが,もしかしたらフリッカー特有の現象かもしれませんし,3年生苗の翌年に花芽を残したのが悪かったのかもしれないですね。
4月に開花した花芽は受粉しておらず,果実の肥大化はおきていませんでした。
味見くらいはしたかったので,ちょっと残念です。
それはともかく,苗木の成長自体は順調ですからあまり心配はしていません。
水やりの間隔
水やりの間隔は,変わらず「2日に1回3分間」です。
5月24日は苗木が全体的に成長していた
2020年5月24日,実家に撮影を協力してもらい,写真を送ってもらいました。
前回から実家の人にスマートフォンの扱いを教えておいたため,4月よりは鮮明な写真が送られてきました。
ブルーベリーの様子
分かる限りで観察したところ,5月9日から果実の肥大化に栄養が回らなかったことで,苗木の成長は順調に進んでいるようです。
鉢の下部で枝葉の成長が顕著ですね。
既に10号スリット鉢からはみ出しています。
この時点で収穫は完全に諦めて株の成長に焦点を合わせました。
水やりの間隔
水やりの間隔は,変わらず「2日に1回3分間」です。
5月30日はアブラムシ対策に農薬を散布し果実は色付く
アブラムシ対策の農薬はオレート液剤
2020年5月30日,4月19日に散布した農薬の効果が約30日経った頃に切れていたようで,新梢にアブラムシが発生していました。
残念ながらベニカ水溶剤はブルーベリーとしては収穫45日前までしか使用することが出来ませんので,アブラムシ対策としてオレート液剤を100倍に希釈して散布しました。(1回目)
オレート液剤は食品添加物に指定されているオレイン酸ナトリウムを主成分としており,害虫の呼吸器官である気門を封鎖することにより窒息死させるタイプの農薬です。
収穫前日まで大丈夫ですのでこの時期の使用としては安心ですね。
ブルーベリーの様子
5月9日から3週間が経過し,雨がほとんど降らず,気温も相変わらず25℃~30℃と成長には最もいい状態ですので,成長に栄養を集中させているフリッカーは元々の樹勢の良さも相まって成長著しいです。
全体的にボリュームが増していますね。
特に4月に発生したサッカーが弱々しい枝から太くてしっかりした枝に成長しています。
この調子でどんどん成長していって欲しいです。
水やりの間隔
水やりの間隔は,「2日に1回3分間」です。
6月6日は他の品種で1回目の収穫
2020年6月6日,収穫組のブルーベリーで1回目の収穫をしました。
収穫量は全体的に少なかったです。
実家の人が収穫し,そのまま味見をしてもらいました。
フリッカーは順調に成長しているようです。
6月14日は他の品種で2回目の収穫
2020年6月14日,ようやく私自身が収穫組のブルーベリーから収穫をしました。
味見が出来る程度の収穫量でしたが,十分満喫出来ました。
ブルーベリーの様子
5月30日から2週間が経過していますが,収穫組と違ってフリッカーは苗の成長は止まることはありませんでした。
枝葉は横へ展開し始め,ボリュームが増していました。
しっかりと農薬を散布しているおかげか,害虫による成長阻害を免れ,光合成をした分だけ枝葉の成長に栄養をまわせていることも影響しているかと思います。
水やりの間隔
水やりの間隔は,変わらず「2日に1回3分間」です。
6月25日は45Φナーセリーポットへ鉢増し後に追肥と3種類の農薬を散布
2020年6月25日,十分に成長したフリッカーにとって,10号スリット鉢が窮屈になってきましたので,直径45cmのナーセリーポットへ鉢増し,3種類の農薬を散布した後,追肥として8-8-8普通化成肥料を20gあげました。
10号スリット鉢から45Φナーセリーポットへ鉢増し
根を確認すると,スリット鉢全体にまわっており,しっかりと成長が確認出来ました。
鉢増し時の用土は,変わらずピートモス:もみ殻=1:1の配合です。
直径45cmのナーセリーポットに用土を入れて,フリッカーを乗せ,側面に用土を隙間なく詰め,支柱で枝を固定すれば完成です。
3種類の農薬はアブラムシ・イラガ・コガネムシ類の幼虫対策
鉢増しが終わると,3種類の農薬を散布しました。
1種類目は,5月にも使用したアブラムシ対策のオレート液剤(100倍希釈)です。(2回目)
2種類目は,イラガ対策として,収穫前日まで使用可能なデルフィン顆粒水和剤(1000倍希釈)です。(1回目)
こちらは,有機農産物にも使用できる資材で,使用回数に制限がありません。
3種類目は,ブルーベリーの鉢植えとして天敵となる,コガネムシ類の幼虫対策として,ダイアジノン粒剤5です。(1回目)
こちらは,収穫14日前までですので,収穫前後のサザンハイブッシュとノーザンハイブッシュでは,違反とならないよう注意しながら散布しました。
フリッカーとしては,収穫をすることがなく成長に注力していますので,注意することなく散布しました。
梅雨のこの時期は成長が一旦ストップしていますので,梅雨明けから再開する急成長のためにしっかりとここで農薬を散布することで,害虫の被害にあうことなく成長することが出来ます。
2回目の追肥は普通化成肥料
追肥となる2回目の追肥としてあげた8-8-8普通化成肥料は速効性化成肥料です。
20gの肥料に含まれる窒素成分量は約1.6gです。
収穫組に合わせてすぐに肥料を吸収して樹勢を回復させたいと思い,緩効性化成肥料ではなく速攻性化成肥料をあげましたが,5月9日の時点で収穫を諦めていたので,成長に特化して長く肥料を効かせることが出来る緩効性化成肥料で良かったと,あとで気づきました。
ブルーベリーの様子
6月14日から約10日が経過していますが,やはり苗の成長は一旦止まっていますね。
梅雨が過ぎてから秋までは,光合成で作った栄養を全て成長に注ぐことが出来るので,見違えるような成長が期待できます。
水やりの間隔
水やりの間隔は,6月24日まで「2日に1回3分間」でしたが,軽い水枯れの症状を見せた鉢があったので6月25日から「2日に1回5分間」に変更しました。
7月18日は雨除けハウスと防鳥ネットを外し寒冷紗を設置
2020年7月18日,雨除けハウスと防鳥ネットを外し(設置期間:5月9日~7月18日),寒冷紗を設置しました。
寒冷紗は真夏の強すぎる日ざしからブルーベリーを守るため
寒冷紗を設置した理由は,ハイブッシュ系統のブルーベリーにとって,真夏の強すぎる日ざしは,葉っぱが焼けてしまう原因となるからです。
夏の強い日ざしは,葉焼けだけでなく,葉の温度上昇による光合成効率低下の原因ともなりますので,遮光率20%程度の白色寒冷紗で樹を覆うと,樹勢が維持されることが期待できます。
よって,元々暑さに強いラビットアイブルーベリー系統はそのままにし,サザンハイブッシュとノーザンハイブッシュ系統の品種のみ,寒冷紗の下で栽培しました。
7月24日はフリッカーの二次伸長が始まっていた
2020年7月24日,フリッカーは二次伸長が始まり急成長していました。
ブルーベリーの様子
2020年は7月の天気が非常に悪く,曇りと雨ばかりでしたので,日照不足が懸念されましたが問題なく成長していて安心しました。
下の写真で黄緑色の葉は二次伸長で発生したもので,新梢も元気に展開しており,非常に元気な苗です。
縦にも横にも新梢が発生していますし,何よりも株元からシュートが発生していますね。
もちろん4月当初に発生したサッカーも成長して,枝が太く葉が生い茂っています。
ただし,他のブルーベリーで多少害虫に葉を食害されているのと,葉が黒くなっている部分もありました。
害虫の正体はコガネムシ類の成虫です。
この時期になるとどうしても発生してしまいますが,遠隔栽培している以上は多少の食害は我慢しないといけません。
先月末にダイアジノン粒剤5を散布しているので,おそらく鉢内に産卵しても問題ないでしょう。
水やりの間隔
水やりの間隔は,7月20日までは「2日に1回5分間」で,最高気温が30℃以上となったので7月21日から「1日に1回5分間」に変更しました。
8月15日はIB化成肥料を3回目の追肥と2種類の農薬を散布
3回目の追肥は緩効性化成肥料
2020年8月15日,フリッカーに2020年最後となる3回目の追肥としてIB化成肥料を15gあげました。
肥料に含まれる窒素成分量は約1.5gです。
2種類の農薬はアブラムシとイラガ対策
その後,2種類の農薬を散布しました。
1種類目は4月にも使用したアブラムシ対策のベニカ水溶剤(2000倍希釈)です。(2回目)
2種類目は6月にも使用したイラガ対策のデルフィン顆粒水和剤(1000倍希釈)です。(2回目)
ブルーベリーの様子
また,前回の記録から3週間あきましたがしっかりと成長していました。
2020年は7月の天候不順から一転して8月は雨が2日間しかなく,8月9日から8月31日までの23日間で35℃超えの猛暑日が19日間観測されるほどの好天となり,ブルーベリーにとっては厳しい季節ですが,水枯れすることがなく新梢が萎れなければどんどん成長していきます。
7月18日に確認された,フリッカーの株元から発生していた元気なシュートは苗木の中では一番上まで伸長していました。
これで将来の主軸候補になりましたね。
いつの間にかフリッカーは十分立派な樹に成長しています。
水やりの間隔
水やりの間隔は,8月9日までは「1日に1回5分間」でしたが,最高気温が35℃以上となったので8月10日から「1日に2回5分間」に変更しました。
9月12日は寒冷紗を外した
2020年9月12日,実家の人にお願いして,寒冷紗を外してもらいました。(設置期間:7月18日~9月12日)
水やりの間隔
水やりの間隔は,9月11日までは「1日に2回5分間」でしたが,9月12日に最高気温が35℃未満となっていたので「1日に1回5分間」に変更しました。
9月19日は2種類の農薬を散布
農薬はアブラムシとイラガ対策
2020年9月19日,2種類の農薬を散布しました。
1種類目は8月にも使用したアブラムシ対策のベニカ水溶剤(2000倍希釈)です。(3回目)
2種類目も同じく8月にも使用したイラガ対策のデルフィン顆粒水和剤(2000倍希釈)です。(3回目)
ブルーベリーの様子
また,前回の記録から約1ヶ月間あきましたがしっかりと成長していました。
天候としては,8月の猛暑日は和らぎ,30~35℃までの真夏日が続いており,ブルーベリーが成長するためには最も良い環境といえます。
フリッカーを観察すると,夏から続いていた急成長は止まることなく,4月に発生したサッカーは横へ展開し,7月に発生した株元のシュートは先端で枝分かれしており,そのまま来年に収穫しても良し,冬に1/2に剪定して将来の主軸として更に成長を促しても良いと思います。
これだけ全体的にボリュームが増していれば,来年はまとまった量のブルーベリーが収穫出来そうですね。
水やりの間隔
水やりの間隔は,9月18日までは「1日に1回5分間」でしたが,9月18日に最高気温が30℃未満となっていたので9月19日から「2日に1回5分間」に変更しました。
10月16日は成長が止まった様子
2020年10月16日,フリッカーが18㎝ポット仕立てで届いてから約1年間経過しました。
ブルーベリーの様子
1年間で成長したフリッカーがこちら。
6月の収穫後から9月まで勢い良く成長していましたが,10月16日時点で成長が止まっていました。
ただし,鉢の下側の根は暑さが和らぐ9月から紅葉までが成長の期間ですので,おそらく1ヶ月間で十分に成長しているはずです。
水やりの間隔
水やりの間隔は,10月15日までは「2日に1回5分間」でしたが,最高気温が25℃未満となっていたので10月16日から「3日に1回5分間」に変更しました。
まとめ
ブルーベリーのフリッカー3年生苗を購入して,庭で鉢植え栽培をした時の成長の様子を紹介しましたがいかがでしたか?
1年間の作業内容と,使用した農薬・肥料,水やりの間隔,用土の配合といった条件を紹介した上で,フリッカーが1年間でどうやって成長していったか,気になる点は大体理解出来たかと思います。
果実の収穫量
2020年のフリッカーの収穫量は,残念ながらありませんでした。
3年生苗を購入した翌年としては,100~300g程度の収穫量を期待してましたので,全く収穫出来ないということは想定していませんでした。
その分立派な樹に成長しましたので,来年の収穫量に期待ですね。
1年間の肥料に含まれる窒素量
なお、1年間で与えた肥料の合計窒素含有量は約9.1gです。
短い期間で成長したため鉢増しをした結果多めに肥料をあげましたが、3年生苗に与える年間の合計窒素含有量は4~8gですので、途中で鉢増しをしないのであれば3回目の追肥は必要ないですね。
標準品種のフロリダスターと比較すると成長は早い
せっかくなので,2019年10月に届いたばかりの3年生苗と2020年の4年生苗となったフリッカーを比べてみましょう。
2019年10月に届いた3年生フリッカー(右側の苗木) 2020年10月16日に撮影した4年生フリッカー
期待した以上に立派な樹へと成長してくれました。
特に枝葉がこれだけ多いと,冬の剪定で太い枝だけ残したとしても,十分な結果枝の数を確保することが出来るかと思います。
夏剪定をしていないため,内向きの枝や細い枝も自由に成長させているため,しっかりと冬季剪定をしなければいけませんね。
ちなみに,同じ4年生苗のサザンハイブッシュ系統標準品種であるフロリダスターがありますので,2019年の3年生苗と1年後の様子を比較してみましょう。
2019年10月に届いた3年生フロリダスター(中央の苗木) 2020年10月16日に撮影した4年生フロリダスター
どうでしょうか?
4年生フリッカーとフロリダスターは,2019年10月から栽培しているため,当初のサイズは同じでした。
フロリダスターも同時期に45Φナーセリーポットへ鉢増ししているため,根の成長速度にそこまでの差はありませんが,枝葉の密度はフリッカーの方が多くて元気な印象です。
つまり,フリッカーとフロリダスターで成長具合を比較すると,フリッカーの方が早く成長していることが分かるかと思います。
ただし,フロリダスターは味見程度には果実を収穫をしているため,全く同じ条件というわけではありませんので,単純な樹勢の違いだけではないことには留意しないといけませんね。
結論としては,樹勢はフロリダスターより良いという「大関ナーセリー」の評価は,間違ってはいませんでした。
3年生苗で購入という選択も悪くない
「大関ナーセリー」で2年生苗と3年生苗との価格差は1,000円程度ですし,少量であれば翌年から収穫することが出来ますので,早く収穫したいということであれば3年生苗を購入することも選択肢として悪くないと思います。
この記事を読んでみて,ブルーベリーのフリッカーを育ててみようと思って貰えたら幸いです。
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