皆さんこんにちは。
おんきちです。
今回は2019年に2年生苗として購入したブルーベリーのオニールを,2019年から1年間庭で鉢植え栽培をした結果の成長記録を紹介します。
目次
オニールはサザンハイブッシュ系統の基準となっている品種
オニールは,アメリカのノースカロライナ州立大学とアメリカ連邦農務省が共同で育種したサザンハイブッシュブルーベリーです。
サザンハイブッシュ系統は関東地方以西での栽培が適している
サザンハイブッシュブルーベリーは,ノーザンハイブッシュ系からつくられた新しい系統で,ノーザンハイブッシュ系よりも暑さに強く,成長が早い品種が多いという特徴を持っています。
また,ノーザンハイブッシュ系と同じく,果実が大きく,味と香りのよい品種が多くあり,ラビットアイ系より早く収穫出来るという特徴もあります。
冬が-10℃以下になる地域では,生育不良になるとのことで,関東地方以西での栽培が適しているようです。
サザンハイブッシュ系統は比較的新しい
樹勢が良いため成長が早く,収穫量が多いというメリットがありますが,最も古い品種の一つがシャープブルーという品種で,1975年に発表されており,比較的新しい系統です。
例えば,ノーザンハイブッシュ系統では,1936年に発表されたウェイマスがありますし,ラビットアイ系統では,1955年に発表されたホームベルがありますので,サザンハイブッシュ系統は20年以上新しい品種ですね。
つまりまだまだ完成された品種がないため,どんどん新しい品種が育種されており,発展途上の系統といったイメージです。
その中でオニールは基準となる品種
その中でも1987年に発表されたオニールは,サザンハイブッシュ系統の中では古い品種であり,サザンハイブッシュ系統の基準ともなっている優良品種でもあります。
そんなオニールの苗木としての特徴は,
- 樹勢が良い
- 収穫時期が早い
- 収穫量が多い
ということが挙げられます。
また,果実品質の特徴はというと,
- 大粒
- 甘い
- 風味が良い
の3点が挙げられますね。
ということで,サザンハイブッシュ系統を育てるのであれば,真っ先に候補としてあがるほど有名かつ王道の品種です。
残念ながら,現在のアメリカでサザンハイブッシュ系統の標準品種といえば,フロリダスターということですので,既に役目を果たした古い品種という扱いかもしれません。
しかし,最新品種と比べても,簡単に入手出来る割には果実の品質が良く,名前が知られている品種という扱いですので,評価されているということでもありますね。
大関ナーセリーからの評価
日本国内での苗木販売会社である「大関ナーセリー」のホームページから引用すると,
成熟期 早生 6月上旬~中旬 樹姿 低温要求量は400~500時間 半直立性 樹勢は強い 果実 大粒 果形は扁円形 果皮は青色 果柄痕の状態は良い 甘味がある 収穫量 多い ◆アメリカ連邦農務省とノースカロライナ州立大学(育成地はキャッスルヘイン農場)との共同育成。1987年に発表。
「ウルコット」と系統番号「Fla4-15」との交配。
◆サザンハイブッシュブルーベリー
東北南部から四国、九州、沖縄までの、寒冷地を除く地域に向きます。
栽培のポイント
・酸性土壌(pH4.5~5.2)を好みます。
・酸度未調整のピートモス等をたっぷり混ぜて、土壌改良をしてから植え付けてください。
・自家受粉しない品種が多いので、異なる品種をお近くに植え付けてください。
引用元:大関ナーセリー「オニール(O’Neal)」
ということで,一般的な品種という認識になっており,これといって一押しの品種という評価ではないようで,記載内容も少ないですね。
また,オニールはアメリカパテント(米国特許)品種でもなければ,日本国内の種苗法による登録品種でもない,一般品種です。
ということもあって,近所のホームセンターでも探せば大抵販売されているため入手しやすいというのも特徴ですね。
オニールの2年生苗は簡単に入手出来た
私自身は2012年にブルーベリー栽培を始めた当初はラビットアイ系統からスタートしており,サザンハイブッシュ系統は2019年からの栽培です。
2012年当時,利用したのは近所のホームセンターで売れ残っていて安売りしていた苗木でしたが,今回は苗木屋から購入しようと思い,2019年2月に「大関ナーセリー」のオンラインストアを覗いてみたところ,時期が悪かったため売り切れとなっており,代わりにYahooショッピングに出店している「苗木部 花ひろばオンライン 」で在庫ありとなっていたので,購入することにしました。
すぐに注文したところ,問題なく届きました。
2019年2月に購入したオニールの2年生苗が届く
2019年2月,「苗木部 花ひろばオンライン 」からオニールの2年生接木苗が届きました。
オニールは15㎝ポット仕立てで届き,苗木としては十分なサイズで送られてきており,根もしっかりと張っていました。
おそらくですが,2017年3月に接木をしたものを2018年10月に2年生苗として出荷していた苗の残りを2019年2月に購入しているはずですので,2019年3月以降は新3年生苗となるはずです。
届いたらまずは植え替え
そして,届いたらすぐに7号スリット鉢へ植え替えました。
植え替え時の用土は,ホームセンターで販売されていた「ブルーベリーの土」です。
この時期は,土のことをあまり深く考えていませんでしたので,そのまま使用できる簡単な用土を選んでいました。
水やりは自動潅水機におまかせ
また,水やりの間隔について言及していますが,これは自動潅水機であるタカギの「かんたん水やりタイマー」の設定を変更しているということです。
栽培記録
2019年10月までは写真による記録がほとんどない
2019年2月から栽培を開始した2年生接木オニールですが,残念ながら栽培記録を取るつもりがなかったため,写真による記録がほとんどありません。
なので2年生苗の栽培記録は軽く紹介しますね。
2月16日に枝を剪定
剪定方法はシンプル
2020年2月16日,オニールの剪定をしました。
2年生苗の剪定方法は,シンプルです。
- 不要な枝を切る。(折れ枝,枯れ枝,爪楊枝より細い枝)
- 花芽を全て切る。
以上です。
4月1日に葉芽が展開し始める
2019年4月1日,オニールは葉芽が展開し始めていました。
肥料はすべて緩効性化成肥料
オニールへの施肥は1年間で3回しました。
3月3日,元肥としてIB化成肥料を20g
6月2日,1回目の追肥としてIB化成肥料を10g
7月7日,2回目の追肥としてIB化成肥料を10g
の合計40gです。
なお,IB化成肥料は,緩効性化成肥料といって,ゆっくりと効いていくよう設計された肥料です。
肥料成分は,N:P:K=10:10:10 です。
つまり,1年間で与えた肥料に含まれる窒素成分量は約4.0gです。
なぜこのような施肥計画にしたかというと,ブルーベリーの栽培において,有機肥料か化成肥料のどちらが成長に適しているかを実験するため,
- 有機肥料を3回
- 緩効性化成肥料(IB化成肥料)を3回
- 緩効性化成肥料(マグァンプK中粒を1回+IB化成肥料を2回)
の3種類に施肥計画を分けて試してみたというわけです。
その中でオニールは「2.緩効性化成肥料(IB化成肥料)を3回」を採用して観察しました。
水やりの間隔
2019年における,水やりの間隔は以下のとおりです。
~3月2日,7日に1回2分間。
3月3日~8月9日,1日に1回2分間。
8月10日~9月14日,1日に2回2分間。
9月15日~10月29日,1日に1回5分間。
10月30日~12月6日,3日に1回5分間。
12月7日~,7日に1回5分間。
9月に10号スリット鉢へ鉢増し
2019年9月15日,オニールの根が7号スリット鉢9割以上になっていましたので,10号スリット鉢へ鉢増ししました。
用土は,変わらずプロトリーフ「ブルーベリーの土」です。
そこへ肥料として,ハイポネックスのマグァンプK中粒を用土1Lあたり4g入れたものを用土として使用しました。
10号スリット鉢は約13.5Lで苗木の分を抜くと,用土は約10Lのため1鉢あたり約40g使用ということになります。
マグァンプK中粒は,N:P:K=6:40:6 ですので,肥料に含まれる窒素成分量は約2.4gです。
10月に成長が止まる
2019年10月,オニールの成長が止まりました。
ただし,鉢の下側の根は暑さが和らぐ9月から紅葉までが成長の期間ですので,おそらく1ヶ月間で十分に成長しているはずです。
ブルーベリーの様子
2019年2月から栽培し始めてから8ヶ月間が経過して成長したオニールがこちら。
2019年は日照不足による生育不良に悩まされた上,アブラムシやイラガ,コガネムシ類,ハマキムシといった害虫に成長を阻害された跡が見つかりました。
その割には,9月には7号スリット鉢9割まで根が張っていましたし,苗のサイズとしても,同時期に届いた3年生苗のブルーベリーと比べてかなり大きいサイズに成長していましたので,悪くはない結果だと思います。
2020年1月1日に枝を剪定
剪定方法はシンプル
2020年1月1日,オニールの剪定をしました。
3年生苗の剪定方法は,以下の4点です。
- 不要な枝を切る。(折れ枝,枯れ枝,爪楊枝より細い枝)
- 勢いはあるけど邪魔な枝を切る。(内向きに伸びた枝,株の中心にある枝,重なってしまう枝)
- 勢いの弱いサッカーを切る
- 結果枝についた花芽を1枝あたり2~3個に調整。
以上です。
以下の写真は剪定後ですが,2020年により立派な苗に成長して欲しかったので,大胆な剪定を行い,残す枝をかなり絞りました。
その結果が下の写真です。
特に根本から発生しているシュートを大事にし,将来の主軸として成長してくれるように配慮しています。
花芽は合計で16個に調整しました。
2月8日で1年を迎える
2020年2月8日,オニールが15㎝ポット仕立てで届いてから約1年が経過しました。
ブルーベリーの様子
1年間で成長したオニールがこちら。
1月に剪定してから変わっていませんね。
変わったところといえば,支柱を1本足したことくらいでしょうか。
せっかくなので,2019年4月の3年生苗となったばかりのオニールと2020年4月に4年生苗となる直前のオニールを比べてみましょう。
いかがでしょうか?
一番わかりやすいのは,主軸の太さですね。
2019年には細くて弱々しい緑色の枝だったのが,しっかりと成長して太い幹となっています。
そこそこの苗に成長したが課題がみつかる
2年生苗を購入して栽培を開始しましたが,1シーズンで3年生苗としてはそこそこの苗に成長したと思います。
ただし,2019年の栽培を通して課題が見えてきました。
害虫による成長阻害が目立った
まずは,害虫による成長阻害が大きかったことです。
2019年はアブラムシ,カイガラムシによる成長阻害と,ケムシ,イラガ,コガネムシ類成虫,ハマキムシによる葉の食害が目立ちました。
根の成長スピードが不満
次に,肥料の課題です。
2019年は,有機肥料と化成肥料の効果の違いを調べるため,オニールは全て緩効性化成肥料(IB化成肥料)を施肥してみたところ,苗の成長は非常に良かったので満足していますが,根の成長スピードに不満が残りました。
有機肥料のみ与えたラビットアイ系統のブライトウェルよりも根の成長が遅れていたため,肥料による違いが根の成長に影響を与えていないか,2020年も引き続き調べていきます。
水やりの間隔が短く過湿気味だった
最後に水やりの間隔が全体的に短かったため,鉢内が過湿気味だったということが分かりました。
基本的な水やりとしては,鉢植えの表面が乾いたら,鉢底から水が流れ出るまでたっぷりとやるということですが,自動潅水機で水やりをする場合の間隔についてもう少し調べてから設定するべきでしたね。
以下はそれらの課題に対する対策です。
2020年に行った改善策
無農薬栽培にこだわる必要はない
害虫被害は苗の成長を大きく阻害することが分かりました。
その対策として,常に観察して害虫を取り除くという方法があります。
これが一番確実で安全なのは分かります。
しかし,私の場合は,実家で遠隔栽培をしていますので,上記の対策を取ることが出来ません。
また,出来たとしても多大な労力をかけて害虫対策をしたくはありません。
よって,農薬を定期的に散布することで同じ効果が得られるのであれば,そっちを選ぼうと思いました。
2020年の栽培計画のため噴霧器を購入
ということで,まず2019年10月に農薬を散布するための噴霧器を購入しました。
電動の噴霧器は楽みたいですが,高いしうるさいという評判だったため採用せず,安くて静かな蓄圧式噴霧器を選びました。
害虫対策に農薬を順次購入
次に必要な農薬として以下の農薬を順次購入していきました。
農薬名 | 害虫名 | 希釈倍率 | 使用回数 | 使用可能日 |
ベニカ水溶剤 | アブラムシ | 2000倍 | 3回 | 収穫45日前まで |
オレート液剤 | アブラムシ | 100倍 | 回数制限なし | 収穫前日まで |
デルフィン顆粒水和剤 | イラガ | 1000倍 | 回数制限なし | 収穫前日まで |
マシン油乳剤 | カイガラムシ類 | 12~14倍 | 回数制限なし | なし |
ダイン(展着剤) | なし | 1Lに0.3ml | 回数制限なし | なし |
ダイアジノン粒剤5 | コガネムシ類幼虫 | なし | 2回 | 収穫14日前まで |
更に他の害虫が現れたときは,買い足していく予定です。
同じく緩効性化成肥料を主体とした施肥計画にした
2020年の施肥計画は、更に肥料の検証をするため、オニールが2019年と同様に化成肥料を主体とした場合に,成長が変わらないかを確認することにしました。
鉢増し時に投入した,マグァンプK中粒
3月に元肥として,IB化成肥料
5月の追肥として,IB化成肥料
7月のお礼肥として、8-8-8普通化成肥料
以上のような施肥計画に変更することにしました。
単純に樹勢の強さの違いと言ってしまえばそれまでですが,肥料の成分によって成長に差があると仮定し,2020年は化成肥料のみの場合と,有機肥料+化成肥料による成長の違いを見てみることにしました。
水やりの間隔は乾燥ぎみとなるように調整
2019年の水やりのスケジュールでは,水やりが過剰であったため鉢内が過湿気味だった反省を活かし,2020年の水やり間隔は乾燥ぎみとなって根の成長を促せるよう調整することにしました。
特に気温に応じて間隔をあけるようにするため,
- 最高気温が10℃未満は「7日に1回3分間」
- 最高気温が10℃以上は「3日に1回3分間」
- 最高気温が25℃以上は「2日に1回3分間」
- 最高気温が30℃以上は「1日に1回3分間」
- 最高気温が35℃以上は「1日に2回3分間」
という自動潅水機の水やり設定にしたいと思います。
まとめ
ブルーベリーのオニール2年生苗を苗木屋のオンラインショップである「苗木部 花ひろばオンライン 」で購入し,庭で鉢植え栽培をした時の成長の様子を紹介しましたがいかがでしたか?
1年間で使用した肥料,水やりの間隔,用土の配合といった条件を紹介した上で,オニールが1年間でどうやって成長していったか,気になる点はある程度理解出来たかと思います。
しかし,2019年は課題も多く,栽培方法を見直すべき部分が多かったのも事実です。
2020年の改善計画でオニールは多少成長速度が増した
上記で改善策を考えた2020年の栽培計画を実行したところ,オニールはそこそこ成長速度が早くなったかな,くらいに感じる程度でした。
詳細は次回の記事で書こうと思いますが,2020年10月に撮影したオニールがこちらです。
いかがでしょうか?
鉢のサイズは10号スリット鉢から,直径45cmのナーセリーポットに植え替え,苗木は2020年2月の状態から大きく成長していますね。
ただし,根の成長スピードは変わらずでしたが,有機肥料から化成肥料に変更した別の苗は枝葉の成長が格段に良くなり,根の成長も変わらず良かったため,根の成長に対しては有機肥料と化成肥料で有意な差はみられないことが分かり,接木の下側にあるラビットアイ系統の根の樹勢が悪いということが分かりました。
それでもしっかりと成長していますので,2021年の収穫は期待しています。
2020年の3年生オニールの栽培記録はこちらです。
3年生苗ブルーベリーのオニールが1年間でどう成長していったか記録しました
オニールの栽培は他の品種と比較したい人にオススメ
オニールは,サザンハイブッシュの基準となる平凡な品種ですので,最新品種と比べると魅力を感じないかもしれませんが,他を比較するのに参考になる品種です。
2019年は日照不足に悩まされた上,実施した栽培方法のように施肥した肥料が少なく,水やりは過湿気味で,無農薬栽培をした結果,害虫の被害が多くて成長を阻害されたとしてもそれなりに成長してくれますし,2020年の栽培計画のようにしっかりと対策しても変わらずに成長してくれます。
なお,サザンハイブッシュ系統は,関東地方以西での栽培が適しているようですので,栽培地はある程度限定されるということに留意してください。
この記事を読んでみて,ブルーベリーのオニールを育ててみようと思って貰えたら幸いです。
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