皆さんこんにちは。
おんきちです。
今回はブルーベリー栽培に関するコラムです。
第一弾として,ブルーベリー栽培における肥料の選び方について,私の基本的な考え方を紹介します。
目次
ブルーベリー栽培に肥料は必要
ブルーベリー栽培を始めるにあたって,1年間の施肥計画はシーズン初めに必ず考えておく必要があります。
肥料成分がない土壌では成長しない
肥料がなくてもブルーベリーは育つといった意見を見受けられますが,栽培地に肥料成分が豊富に含まれている場合に限られますので,私は基本的に肥料は必要だと考えています。
これは私の経験ですが,肥料成分がない痩せた土壌の庭に定植して,3年間肥料をほとんどあげなかった結果,ブルーベリーは全く成長しませんでした。
しっかりとした施肥計画を立てると大きく育つ
しっかりとした施肥計画を作って実行すると,ブルーベリーはそれだけ期待に応えてくれます。
上記の状態からしっかりとした施肥計画を立てて,2年かけて成長させた結果がこちらです。
大きく育っていますね。
肥料がブルーベリーの成長にとって必要か分かっていただけたかと思います。
ブルーベリーに施肥するときの注意点
ブルーベリーに施肥するときは,与える時期と量,肥料の種類に気をつける必要があります。
樹齢によって施す量を変えるとともに,肥料の種類も変えていきましょう。
それではどのような肥料を選べば良いか,肥料の成分に関する基本的な情報を紹介します。
肥料の三要素
植物の成長に必要な三要素はチッ素(N)・リン酸(P)・カリ(K)です。
必ず肥料の袋にこれら3つの成分含有量は記載されています。
チッ素(N)
チッ素(N)はブルーベリーの枝や葉の生育を良くする成分で,チッ素が足りないと葉の色が薄くなり,枝の伸びも悪くなります。
さらに,肥料の中にチッ素成分には,アンモニア態(NH4+),硝酸態(NO3-)などいろいろな形があり,成分保証量には,アンモニア態チッ素の含有量が記載されています。
一般的にブルーベリーは,アンモニア態チッ素を施すと生育がよくなるとされています。
よって,アンモニア態チッ素の含有量が多い肥料を選ぶようにします。
リン酸(P)
リン酸(P)は開花や結実に関係する成分で,不足すると花が少なくなり,果実も結実しにくくなるようです。
カリ(K)
カリ(K)は根の成長を促して木の抵抗力を付加し,病害虫や凍害などに強い枝葉にするようです。
肥料を施す時期
1年間で3回程度,元肥と追肥を施します。
元肥は3月上旬
温暖な地域では,3月上旬・中旬の春肥が元肥となります。
これは,暖かくなって,春の芽吹きが始まる前に施肥をすることで,花芽の開花を助け,新梢の伸長を助ける役割を果たします。
よって,ゆっくりと長く肥料の効果が現れることを期待してあげていますので,有機質肥料または緩効性化成肥料が適しています。
また,1年間の施肥量のうち,40%~60%となるようにしています。
ただし,寒冷地等では,積雪で3月にまけない地域の場合,11月上旬の秋肥を元肥とするようですので,栽培地によって施肥の時期を見極める必要がありますね。
1回目の追肥は5月か6月
1回目の追肥は,5月にハイブッシュ系へ施肥し,6月にラビットアイ系へ施肥します。
1年間の施肥量のうち,20%~30%となるようにしています。
この追肥は,新梢の伸長と果実肥大を目的としているので,素早く肥料の効果が現れることを期待してあげています。
よって,施肥直後から肥料の効果が現れる速攻性化成肥料または緩効性化成肥料が適しています。
2回目の追肥は7月か8月
2回目の追肥は,7月にハイブッシュ系へ施肥し,8月にラビットアイ系へ施肥します。
1年間の施肥量のうち,20%~30%となるようにしています。
この追肥はお礼肥といって,苗木が果実の生産によって体力が低下しており,すぐに肥料を吸収して樹勢を回復させたいので,素早く肥料の効果が現れることを期待してあげています。
よって,施肥直後から肥料の効果が現れる速攻性化成肥料または緩効性化成肥料が適しています。
肥料の量
それではどれくらい肥料をあげれば良いか?
市販の化成肥料であれば,N:P:K=10:10:10 のようにバランス良く配合されていますね。
これは,肥料100gのうち,チッ素が10g,リン酸が10g,カリが10g含まれているという意味です。
元肥と追肥にあげる肥料の量は,三要素のうちチッ素成分量に気をつけます。
苗を購入して間もない頃は施す量も少なくて済みますが,樹齢を重ねるにつれて量を多くしていきましょう。
庭植えと鉢植えで肥料の量は違う
ここで注意したいのが,庭植えと鉢植えでは与える肥料の量を変える必要があるということです。
鉢植えの場合は,根が伸びる範囲が限定されていますので,肥料の効き目がより直接的にあらわれるため,庭植えの3分の1量を目安に施肥しましょうという記述が栽培本にありましたので,それを目安に施肥します。
成木に必要な年間チッ素成分量は庭植えで約15~25g
果実をたくさんつけるようになった成木であれば,庭植えで1年間に必要なチッ素成分量は,約15~25gという記述が栽培本にありましたので,それを目安に施肥します。
これはあくまでも一つの例ですが,庭植え栽培で与える1年間のチッ素成分量は,
- 3年生苗 9~11g
- 4年生苗 11~14g
- 5年生苗 11~20g
- 6年生苗 14~25g
- 7年生苗 14~28g
- 8年生苗 16~31g
- 9年生以降 20~34g
といった具合になります。
N:P:K=10:10:10 の肥料であれば,最大でも1年間で約340gの肥料で十分だということですね。
鉢植えで必要な年間チッ素成分量は最大で約12g
ブルーベリーを栽培している鉢のサイズにもよりますが,最大でもチッ素成分量で約12g以下となるようにします。
これはあくまでも一つの例ですが,鉢植え栽培で与える1年間のチッ素成分量は,
- 2年生苗 2~4g
- 3年生苗 4~8g
- 4年生苗 6~12g
- 5年生苗以降 12g
といった具合になります。
N:P:K=10:10:10 の肥料であれば,最大でも1年間で約120gの肥料で十分だということですね。
過剰なチッ素成分の施肥は肥料やけを起こす
上記のチッ素成分量を上回るような過剰なチッ素成分の施肥は肥料やけを起こす可能性があります。
症状としては,葉の先端が枯れてしまうといったものが代表的ですが,最悪の場合は枯れてしまいますので,肥料のあげ過ぎには十分気をつけましょう。
それでは次に肥料にはどのような種類があるのか紹介します。
肥料の種類
肥料には,大まかに有機質肥料と速攻性化成肥料,緩効性化成肥料の3種類に分類されます。
有機質肥料
有機質肥料とは,動物性の廃棄物や,農業からの植物性廃棄物といった生物由来を原料とした肥料のことです。
人糞や馬糞,鶏糞などは古くから肥料として利用されていますね。
ブルーベリーに与える有機質肥料としては,油かすやバットグアノ,草木灰といったものが代表的です。
また,有機質肥料を組み合わせてペレット状にしたブルーベリー専用の肥料というのも市販されています。
プロトリーフから販売されている「ブルーベリーの肥料」がそれです。
有機質肥料は,微生物によって分解されてから肥料が効き始めますので,施肥してから効果があらわれるまで時間が必要です。
よって,萌芽とともにゆっくりと肥料が効いていくよう元肥として利用します。
これらは養分を供給するだけでなく,土壌の物理性も改善するといった特徴がありますので,土を入れ替えることが出来ない庭植え栽培では必要な肥料といえます。
速攻性化成肥料
速攻性化成肥料とは,鉱物から精製・製造されたもの,工業的に合成された無機肥料のことです。
無機肥料には,硫酸アンモニウムや,過リン酸石灰,硫酸カリウムのように,肥料の三要素であるチッ素・リン酸・カリを単独で含んでいる単肥と,2種類以上が含まれた複合肥料があり,その中でも三要素がバランス良く配合された化成肥料に分かれています。
ブルーベリーに与える速攻性化成肥料としては,N:P:K=8:8:8 の普通化成肥料が肥料やけを起こしづらいので,代表的な肥料といえます。
また,液体肥料も速攻性化成肥料の分類になるかと思います。
速攻性化成肥料は,灌水などで肥料成分が溶け出せばすぐに効き始めますので,施肥してから効果があらわれるまで時間が必要ありません。
ただし,植物に吸収されたり,灌水時にある程度流失しますので,肥料の持続期間は1週間くらいと短いです。
よって,新梢の伸長や果実肥大を促進することが目的の追肥や,結実によって弱った樹勢を速やかに回復させることが目的のお礼肥として,速攻性化成肥料が適しています。
緩効性化成肥料
緩効性化成肥料とは,鉱物から精製・製造されたもの,工業的に合成された無機肥料のうち,与えたときから肥料効果があらわれるものの,ある程度の期間効果が持続する肥料のことをいいます。
また,緩効性肥料は表面を被覆した肥料と緩効性の成分を使用した肥料の大きく二つのタイプに分類されます。
表面を被覆した肥料
表面を被覆した肥料は,水溶性の化成肥料を一度に溶け出さないよう,表面を樹脂などで覆われており,「被覆複合肥料」と呼ばれています。
樹脂の厚さによって溶出期間をコントロールすることができるため,肥料成分はバランスよく溶け出します。
ブルーベリーに与える被覆複合肥料としては,IB化成肥料が代表的な肥料です。
緩効性の成分を使用した肥料
緩効性の成分を使用した肥料は,無機質のク溶性や不溶性原料,水溶性原料をミックスした肥料などです。
どの成分も同じように効くのではなく,特定の成分だけが緩効性になっている肥料もあります。
ブルーベリーに与えるク溶性の化成肥料としては,ハイポネックス「マグァンプK中粒」が代表的な肥料です。
緩効性化成肥料は元肥と追肥のどちらでも利用出来る
緩効性化成肥料は,灌水などで溶け出せばすぐに肥料が効き始めますので,施肥してから効果があらわれるまで時間が必要ありません。
さらに,植物に吸収されたり,灌水時に流失しますが,ゆっくりと成分が溶けるように設計されているため,肥料の持続期間は1ヶ月以上と長いです。
よって,萌芽とともにゆっくりと肥料が効いていくよう元肥として利用出来ますし,新梢の伸長や果実肥大を促進することが目的の追肥や,結実によって弱った樹勢を速やかに回復させることが目的のお礼肥としても利用できるため,非常に汎用性が高い肥料といえます。
肥料のベストミックスが重要
以上のとおり,ブルーベリーに施肥するときは,与える時期と量,肥料の種類に気をつけて1年間の施肥計画を考える必要があります。
有機栽培を意識しすぎるあまり,有機質肥料だけを与えていてもすぐに肥効が現れず必要な時期を逃してしまったり,すぐに肥料が効いて欲しいあまり,速攻性化成肥料だけを与えていた結果,肥料やけや灌水時の流失による肥料の持続期間が不足することなどによって,期待どおりに成長してくれるとは限りません。
有機質肥料,速攻性化成肥料,緩効性化成肥料の特性をしっかりと把握したうえで,肥料のベストミックスを考えていくことが重要だと私は考えています。
まとめ
ブルーベリー栽培において,私の肥料の選び方に関する基本的な考え方について紹介しましたがいかがでしたか?
ブルーベリー栽培に関しては,いろいろな肥料を試されている方がいますが,私はなるべく簡単に手に入り,安価な肥料で大きく育ち,美味しいブルーベリーが収穫出来ればいいというスタンスです。
その中で,有機質肥料や速攻性化成肥料,緩効性化成肥料などを組み合わせて,1年間の施肥計画を立てて最も上手く成長する方法を探しています。
皆さんもブルーベリー栽培を楽しんで下さい。
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