皆さんこんにちは。
おんきちです。
今回は2019年に2年生苗として購入したブルーベリーのスパルタンを,2019年から1年間庭で鉢植え栽培をした結果の成長記録を紹介します。
目次
スパルタンはブルーベリーの王道品種
スパルタンは,アメリカ連邦農務省が育種したノーザンハイブッシュブルーベリーです。
ノーザンハイブッシュ系統は寒冷地での栽培が適している
ノーザンハイブッシュ系統の特徴は,寒冷地に適した系統であり,果実が大きく,味と香りのよい品種が多くあるということです。
また,ラビットアイ系統より早く収穫出来るという特徴もあります。
残念ながら冬が温暖な地域では不向きで関東地方より北での栽培が適していますので,関東以南の地域ではそのまま育てるのは難しいようで自根ではなく,接木苗による栽培をする等の工夫が必要になります。
ブルーベリーといえばスパルタンというほど王道の品種だが育てるのは難しい
スパルタンは1977年に発表された品種で,ブルーベリーといえばスパルタンと言われるほど王道で,非常に果実品質が優れています。
そんなスパルタンの苗木としての特徴は,
- 樹勢が中位
- 収穫時期が早い
- 土壌適応性が低い
ということが挙げられます。
また,果実品質の特徴はというと,
- 大粒
- 食味が良い
- 風味が非常に良い
の3点が挙げられますね。
大粒で味と風味が良ければ,他にブルーベリーの果実に求められる特徴はいらないでしょう。
それだけではなく,ブルーベリー本で品種紹介される際には,育てるのは難しいという評価が多いです。
特に土壌適応性が低く,土壌pHや施肥管理がシビアでかなり取り扱いが難しいという特徴が非常に厄介で,最初に選ぶ品種としては不向きかもしれないですね。
しかし,最新品種と比べても,簡単に入手出来るにも関わらず,今でも果実の品質が非常に良く,名前が知られている品種ですので,一度はチャレンジしてみる価値があります。
大関ナーセリーからの評価
日本国内での苗木販売会社である「大関ナーセリー」のホームページから引用すると,
成熟期 早生 6月上旬~中旬 樹姿 直立性 樹勢は中位 樹高は180cmくらい 成熟期がそろう 果実 特大 果形は円形から扁円形 果皮は明青色 果柄痕の状態は中位 風味は特に良い 収穫量 中程度 ◆アメリカ連邦農務省の育成。1977年に発表。
「アーリーブルー」と系統番号「US11-93」との交配。
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◆ノーザンハイブッシュブルーベリー
北海道、本州、九州の夏比較的涼しい地域に向きます。
栽培のポイント
・酸性土壌(pH4.5~5.2)を好みます。
・酸度未調整のピートモス等をたっぷり混ぜて、土壌改良をしてから植え付けてください。
・1品種でも自家受粉しますが、異なる品種をお近くに植え付けたほうが、いくぶん収量が増し、果実も大きくなり熟期も早まります。
ということで,大関ナーセリーのように最新品種を数多く取り揃えている種苗業者でも,スパルタンの果実は特大で風味が非常によいという評価を受けており,果実品質は間違いありませんね。
また,スパルタンはアメリカパテント(米国特許)品種でもなければ,日本国内の種苗法による登録品種でもない,一般品種です。
ということもあって,近所のホームセンターでも探せば大抵販売されているため入手しやすいというのも特徴ですね。
スパルタンの2年生苗は簡単に入手出来た
私自身は2012年にブルーベリー栽培を始めた当初はラビットアイ系統からスタートしており,ノーザンハイブッシュ系統は2019年からの栽培です。
2012年当時,利用したのは近所のホームセンターで売れ残っていて安売りしていた苗木でしたが,今回は苗木屋から購入しようと思い,2019年2月に「大関ナーセリー」のオンラインストアを覗いてみたところ,時期が悪かったため売り切れとなっており,代わりにYahooショッピングに出店している「苗木部 花ひろばオンライン 」で在庫ありとなっていたので,購入することにしました。
すぐに注文したところ,問題なく届きました。
2019年2月に購入したスパルタンの2年生苗が届く
2019年2月,「苗木部 花ひろばオンライン 」からスパルタンの2年生接木苗が届きました。
スパルタンは15㎝ポット仕立てで届き,苗木としては十分なサイズで送られてきており,根もしっかりと張っていました。
おそらくですが,2017年3月に接木をしたものを2018年10月に2年生苗として出荷していた苗の残りを2019年2月に購入しているはずですので,2019年3月以降は新3年生苗となるはずです。
届いたらまずは植え替え
そして,届いたらすぐに7号スリット鉢へ植え替えました。
植え替え時の用土は,ホームセンターで販売されていた「ブルーベリーの土」です。
この時期は,土のことをあまり深く考えていませんでしたので,そのまま使用できる簡単な用土を選んでいました。
そこへ肥料として,ハイポネックスのマグァンプK中粒を用土1Lあたり7.5g入れたものを用土として使用しました。
7号スリット鉢は約4.5Lで苗木の分を抜くと、用土は約4Lのため1鉢あたり約30g使用ということになります。
肥料に含まれる窒素成分量は約1.8gです。
水やりは自動潅水機におまかせ
また,水やりの間隔について言及していますが,これは自動潅水機であるタカギの「かんたん水やりタイマー」の設定を変更しているということです。
栽培記録
2019年10月までは写真による記録がほとんどない
2019年2月から栽培を開始した2年生接木スパルタンですが,残念ながら栽培記録を取るつもりがなかったため,写真による記録がほとんどありません。
なので2年生苗の栽培記録は軽く紹介しますね。
2月16日に枝を剪定
剪定方法はシンプル
2019年2月16日,スパルタンの剪定をしました。
2年生苗の剪定方法は,シンプルです。
- 不要な枝を切る。(折れ枝,枯れ枝,爪楊枝より細い枝)
- 花芽を全て切る。
以上です。
4月1日に葉芽が展開し始める
2019年4月1日,スパルタンは葉芽が展開し始めていました。
肥料はすべて緩効性化成肥料
スパルタンへの施肥は1年間で3回しました。
2月,元肥としてマグァンプK中粒を30g
6月2日,1回目の追肥としてIB化成肥料を10g
7月7日,2回目の追肥としてIB化成肥料を10g
の合計50gです。
なお,マグァンプK中粒は,緩効性化成肥料といって,ゆっくりと効いていくよう設計された肥料です。
肥料成分は,N:P:K=6:40:6 です。
用土に混ぜるタイプの肥料ですので,元肥に向いています。
IB化成肥料も緩効性化成肥料です。
肥料成分は,N:P:K=10:10:10 です。
土の上に置いておくだけで,雨や灌水によって少しずつ溶け出すタイプの肥料ですので,元肥・追肥のどちらにも向いています。
つまり,1年間で与えた肥料に含まれる窒素成分量は約3.8gです。
なぜこのような施肥計画にしたかというと,ブルーベリーの栽培において,有機肥料か化成肥料のどちらが成長に適しているかを実験するため,
- 有機肥料を3回
- 緩効性化成肥料(IB化成肥料)を3回
- 緩効性化成肥料(マグァンプK中粒を1回+IB化成肥料を2回)
の3種類に施肥計画を分けて試してみたというわけです。
その中でスパルタンは「3.緩効性化成肥料(マグァンプK中粒を1回+IB化成肥料を2回)」を採用して観察しました。
水やりの間隔
2019年における,水やりの間隔は以下のとおりです。
~3月2日,7日に1回2分間。
3月3日~8月9日,1日に1回2分間。
8月10日~9月14日,1日に2回2分間。
9月15日~10月29日,1日に1回5分間。
10月30日~12月6日,3日に1回5分間。
12月7日~,7日に1回5分間。
9月に10号スリット鉢へ鉢増し
2019年9月15日,スパルタンの根が7号スリット鉢7割以上になっていましたので,10号スリット鉢へ鉢増ししました。
以下の栽培管理のページでも紹介していますが,ピートモス:もみ殻=1:1の配合です。
ブルーベリーの苗木を購入後の管理と年間栽培スケジュールについて
JAのカントリーエレベーターへ行けば,もみ殻は無料で手に入りましたので,ピートモスを購入すれば,2倍の用土を作れるということで経済的な観点でこの用土を選びました。
これなら用土10Lあたり約100円で作れるため経済的です。
そこへ肥料として,ハイポネックスのマグァンプK中粒を用土1Lあたり4g入れたものを用土として使用しました。
10号スリット鉢は約13.5Lで苗木の分を抜くと、用土は約10Lのため1鉢あたり約40g使用ということになります。
肥料に含まれる窒素成分量は約2.4gです。
10月に成長が止まる
2019年10月,スパルタンの成長が止まりました。
ただし,鉢の下側の根は暑さが和らぐ9月から紅葉までが成長の期間ですので,おそらく1ヶ月間で十分に成長しているはずです。
ブルーベリーの様子
2019年2月から栽培し始めてから8ヶ月間が経過して成長したスパルタンがこちら。
2019年は日照不足による生育不良に悩まされた上,アブラムシやイラガ,コガネムシ類,ハマキムシといった害虫に成長を阻害された跡が見つかりました。
9月には7号スリット鉢7割まで根が張っていたものの,苗のサイズは同時期に届いた3年生苗のブルーベリーと比べて小さなサイズでしたので,やはり取り扱いが難しい品種だと再認識しました。
2020年は栽培方法を改善しなければいけないと最悪枯れてしまうかもしれないと思いました。
2020年1月1日に枝を剪定
剪定方法はシンプル
2020年1月1日,スパルタンの剪定をしました。
3年生苗の剪定方法は,以下の4点です。
- 不要な枝を切る。(折れ枝,枯れ枝,爪楊枝より細い枝)
- 勢いはあるけど邪魔な枝を切る。(内向きに伸びた枝,株の中心にある枝,重なってしまう枝)
- 勢いの弱いサッカーを切る
- 結果枝についた花芽を1枝あたり2~3個に調整。
以上です。
以下の写真は剪定後ですが,ほとんど余分な枝と呼べるものがなく,剪定は花芽の調整くらいでした。
その結果が下の写真です。
花芽は合計で16個に調整しました。
2月8日で1年を迎える
2020年2月8日,スパルタンが15㎝ポット仕立てで届いてから約1年が経過しました。
ブルーベリーの様子
1年間で成長したスパルタンがこちら。
1月に剪定してから変わっていませんね。
変わったところといえば,支柱を1本足したことくらいでしょうか。
せっかくなので,2019年4月の3年生苗となったばかりのスパルタンと2020年4月に4年生苗となる直前のスパルタンを比べてみましょう。
いかがでしょうか?
2019年2月に到着したときと枝の本数がほとんど変わっていません。
主軸と各枝が太くなっただけのように感じます。
枝葉が充実しておらず成長に課題がみつかる
2年生苗を購入して栽培を開始しましたが,1シーズンでほとんど成長しなかったと思います。
2019年の栽培を通して課題が見えてきました。
害虫による成長阻害が目立った
まずは,害虫による成長阻害が大きかったことです。
2019年はアブラムシ,カイガラムシによる成長阻害と,ケムシ,イラガ,コガネムシ類成虫,ハマキムシによる葉の食害が目立ちました。
枝葉と根の成長が遅い
次に,肥料の課題です。
2019年は,有機肥料と化成肥料の効果の違いを調べるため,スパルタンは全て緩効性化成肥料(マグァンプK中粒+IB化成肥料)を施肥してみたところ,苗の成長は悪く,根の成長スピードに不満が残りました。
有機肥料のみ与えたラビットアイ系統のブライトウェル,IB化成肥料のみ与えたサザンハイブッシュ系統よりも成長が遅れていました。
スパルタンの特徴である土壌適応性が低く,施肥管理がシビアでかなり取り扱いが難しいという特徴から,肥料が問題かもしれません。(用土は問題ないと思っているため…)
ひとまず,肥料による違いが根の成長に影響を与えていないか,2020年も引き続き調べていきます。
水やりの間隔が短く過湿気味だった
最後に水やりの間隔が全体的に短かったため,鉢内が過湿気味だったということが分かりました。
基本的な水やりとしては,鉢植えの表面が乾いたら,鉢底から水が流れ出るまでたっぷりとやるということですが,自動潅水機で水やりをする場合の間隔についてもう少し調べてから設定するべきでしたね。
以下はそれらの課題に対する対策です。
2020年に行った改善策
無農薬栽培にこだわる必要はない
害虫被害は苗の成長を大きく阻害することが分かりました。
その対策として,常に観察して害虫を取り除くという方法があります。
これが一番確実で安全なのは分かります。
しかし,私の場合は,実家で遠隔栽培をしていますので,上記の対策を取ることが出来ません。
また,出来たとしても多大な労力をかけて害虫対策をしたくはありません。
よって,農薬を定期的に散布することで同じ効果が得られるのであれば,そっちを選ぼうと思いました。
2020年の栽培計画のため噴霧器を購入
ということで,まず2019年10月に農薬を散布するための噴霧器を購入しました。
電動の噴霧器は楽みたいですが,高いしうるさいという評判だったため採用せず,安くて静かな蓄圧式噴霧器を選びました。
害虫対策に農薬を順次購入
次に必要な農薬として以下の農薬を順次購入していきました。
農薬名 | 害虫名 | 希釈倍率 | 使用回数 | 使用可能日 |
ベニカ水溶剤 | アブラムシ | 2000倍 | 3回 | 収穫45日前まで |
オレート液剤 | アブラムシ | 100倍 | 回数制限なし | 収穫前日まで |
デルフィン顆粒水和剤 | イラガ | 1000倍 | 回数制限なし | 収穫前日まで |
マシン油乳剤 | カイガラムシ類 | 12~14倍 | 回数制限なし | なし |
ダイン(展着剤) | なし | 1Lに0.3ml | 回数制限なし | なし |
ダイアジノン粒剤5 | コガネムシ類幼虫 | なし | 2回 | 収穫14日前まで |
更に他の害虫が現れたときは,買い足していく予定です。
同じく緩効性化成肥料を主体とした施肥計画にした
2020年の施肥計画は、更に肥料の検証をするため、スパルタンが2019年と同様に化成肥料を主体とした場合に,成長が変わらないかを確認することにしました。
鉢増し時に投入した,マグァンプK中粒
3月に元肥として,IB化成肥料
5月の追肥として,IB化成肥料
7月のお礼肥として、8-8-8普通化成肥料
以上のような施肥計画に変更することにしました。
単純に樹勢の強さの違いと言ってしまえばそれまでですが,肥料の成分によって成長に差があると仮定し,2020年は化成肥料のみの場合と,有機肥料+化成肥料による成長の違いを見てみることにしました。
水やりの間隔は乾燥ぎみとなるように調整
2019年の水やりのスケジュールでは,水やりが過剰であったため鉢内が過湿気味だった反省を活かし,2020年の水やり間隔は乾燥ぎみとなって根の成長を促せるよう調整することにしました。
特に気温に応じて間隔をあけるようにするため,
- 最高気温が10℃未満は「7日に1回3分間」
- 最高気温が10℃以上は「3日に1回3分間」
- 最高気温が25℃以上は「2日に1回3分間」
- 最高気温が30℃以上は「1日に1回3分間」
- 最高気温が35℃以上は「1日に2回3分間」
という自動潅水機の水やり設定にしたいと思います。
まとめ
ブルーベリーのスパルタン2年生苗を苗木屋のオンラインショップである「苗木部 花ひろばオンライン 」で購入し,庭で鉢植え栽培をした時の成長の様子を紹介しましたがいかがでしたか?
1年間で使用した肥料,水やりの間隔,用土の配合といった条件を紹介した上で,スパルタンが1年間でどうやって成長していったか,気になる点はある程度理解出来たかと思います。
しかし,2019年は課題も多く,栽培方法を見直すべき部分が多かったのも事実です。
2020年の改善計画でもスパルタンは変わらずゆっくりとした成長だった
上記で改善策を考えた2020年の栽培計画を実行したところ,スパルタンは相変わらずゆっくりとした成長をするだけでした。
詳細は次回の記事で書こうと思いますが,2020年10月に撮影したスパルタンがこちらです。
いかがでしょうか?
鉢のサイズは10号スリット鉢のままで,苗木は2020年2月の状態から少し成長していますね。
また,根の成長スピードは変わらずでしたが,有機肥料から化成肥料に変更した別の苗は枝葉の成長が格段に良くなり,根の成長も変わらず良かったため,根の成長に対しては有機肥料と化成肥料で有意な差はみられないことが分かり,接木の下側にあるラビットアイ系統の根の樹勢が悪いということが分かりました。
ほとんど成長していないので,2021年の収穫は味見程度に控えようと思います。
2020年の3年生スパルタンの成長記録はこちら。
3年生苗ブルーベリーのスパルタンが1年間でどう成長していったか記録しました
スパルタンの栽培は相当難しく上級者にオススメ
スパルタンは,ブルーベリーといえばスパルタンと言われるほど王道で,非常に果実品質が優れています。
しかし,鉢植えで他の品種であれば上手く成長してくれる栽培方法にも関わらず,スパルタンだけ育っておらず,上手い栽培方法を見つけることが出来ていないため,これからブルーベリーを育ててみようと思う方にはオススメ出来ない品種です。
やはりある程度経験を積んだ上で,上手く育たなかった時の改善方法を独自で模索できるような方にオススメします。
この記事を読んでみて,ブルーベリーのスパルタンを育ててみようと思って貰えたら幸いです。
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