皆さんこんにちは。
おんきちです。
今回は2019年10月に3年生苗として購入したブルーベリーのフリッカーが無事成長して4年生苗となり,2020年11月から始まる2021年シーズンはどう成長していったかを紹介します。
目次
フリッカーは低温要求量が少なくて果実が大粒で鉢植え栽培向きという特徴
フリッカーは,アメリカのフロリダ大学が育種したサザンハイブッシュブルーベリーです。
サザンハイブッシュ系統は関東地方以西での栽培が適している
サザンハイブッシュブルーベリーは,ノーザンハイブッシュ系からつくられた新しい系統で,ノーザンハイブッシュ系よりも暑さに強く,成長が早い品種が多いという特徴を持っています。
また,ノーザンハイブッシュ系と同じく,果実が大きく,味と香りのよい品種が多くあり,ラビットアイ系より早く収穫出来るという特徴もあります。
冬が-10℃以下になる地域では,生育不良になるとのことで,関東地方以西での栽培が適しているようです。
サザンハイブッシュ系統は比較的新しい
樹勢が良いため成長が早く,収穫量が多いというメリットがありますが,最も古い品種の一つがシャープブルーという品種で,1975年に発表されており,比較的新しい系統です。
例えば,ノーザンハイブッシュ系統では,1936年に発表されたウェイマスがありますし,ラビットアイ系統では,1955年に発表されたホームベルがありますので,サザンハイブッシュ系統は20年以上新しい品種ですね。
つまりまだまだ完成された品種がないため,どんどん新しい品種が育種されており,発展途上の系統といったイメージです。
フリッカーの特徴は大粒で鉢植え栽培向き
フリッカーの特徴は,たくさんあります。
苗木としての特徴は,
- 低温要求量が少ない
- 樹勢が良い
- 収穫量が多い
- 鉢植え栽培向き
ということが挙げられます。
また果実品質の特徴は,
- 大粒
- 硬い
- 酸味と甘味のバランスが良い
- 生食でもジャム等の加工にしても良い
の4点が挙げられますね。
ということで,サザンハイブッシュ系統を鉢植えで育てるのであれば,候補として抑えておきたい品種です。
大関ナーセリーからの評価
日本国内での苗木販売元である「大関ナーセリー」のホームページから引用すると,
成熟期 早生 6月上旬~中旬 樹姿 直立~開張性 樹勢は非常に良い 低温要求時間は100~200時間 他家受粉 果実 大粒 明るい青色 果柄痕は良い 風味は良い 樹で果実がよく保たれる 収穫量 多い 【 フロリダ大学 日本総代理店契約品種 Exclusive License 】
アメリカパテント(米国特許)品種 PP21554
◆フロリダ大学の育成。2010年発表。
「FL93-51」と「FL93-46」との交配。
◆サザンハイブッシュブルーベリー
東北南部から四国、九州、沖縄までの、寒冷地を除く地域に向きます。
◆特長
フリッカーは低温要求量が少なく、樹勢が良い。果実は非常に大粒で、硬く、甘さと程よい酸味があり、生果用、
加工用どちらにも適する。
果実は熟してもしっかりと樹に付いていて、収穫後の日持ちもたいへん良い。また、鉢植え栽培に向きます。
フロリダ北部では、4月中旬~5月上旬に果実を付ける。
「Star」よりも樹勢が良く、収量も高くなる可能性を持つこの新品種は重要です。
栽培のポイント
・酸性土壌(pH4.5~5.2)を好みます。
・酸度未調整のピートモス等を十分に混ぜて、土壌改良をしてから植え付けてください。
・自家受粉しない品種が多いので、異なる品種をお近くに植え付けてください。
ということで,アメリカでサザンハイブッシュ系統の標準品種となっている,フロリダスターよりも樹勢と収穫量が高いという点が評価されているようです。
また,「大関ナーセリー」のホームページにも記載されているとおり,フリッカーはアメリカパテント(米国特許)品種ですが,日本国内では品種の出願申請をしていません。
品種登録されていないので国内法で保護されていない状態
よって,日本国内では種苗法によって正式に守られている登録品種というわけではありません。
ということで,日本国内の法律上は,ホームセンターで売っているような,ブルーベリーの一般品種と同じ扱いということです。
誓約書が有効かどうか
ただし,2020年10月現在,「大関ナーセリー」で購入する際は,「誓約書への同意」が必要とされています。
誓約書の中には,増殖,転売,レンタル,譲渡しない,育種目的に使用しない,あらゆる知的所有権を獲得しないという文言が入っています。
さらに,上記に違反した場合は,「大関ナーセリー」が被った損害についての賠償金以外に,違反金として500万円を支払うこと,という文言が入っています。
ちなみに,品種登録をしていても,ここまでの制限が出来ると種苗法には記載されていません。
よって,誓約書に同意した購入者の方で何らかの違反が発覚し,会社から違約金の請求があった場合,個人と種苗メーカーとの契約ですので,誓約書が民法上有効かどうかということが争点となります。
仮に裁判で争った場合,違反金の部分が民法第90条の公序良俗に違反していると考えられるので,契約自体が無効と裁判所で判断される可能性があります。(あくまで個人的な見解です)
また,契約相手が農家ではなく,家庭菜園をしているような個人であるならば,消費者契約法第10条「消費者の利益を一方的に害する条項の無効」も適用される可能性がありますね。(あくまで個人的な見解です)
仮に誓約書が有効だとしても,種苗メーカーは利用料相当額の補償金までしか請求出来ないかと思います。(あくまで個人的な見解です)
独占禁止法に違反している可能性がある
正式に品種登録をして,種苗法に守られていれば独占権が与えられるため問題ありませんが,何も国内法において根拠がないにも関わらず,一般品種に対してこのような誓約をさせている状況は,独占禁止法第3条の「私的独占又は不当な取引制限の禁止」に違反している可能性がありますね。(あくまで個人的な見解です)
誓約書に違反しなければ気にする必要はない
とは言っても,誓約書に違反するようなことをしなければ,特に気にする必要はありませんよ。
私は実家の庭で趣味としてブルーベリー栽培をしているだけですので,1品種につき1本あれば必要十分です。
特に挿し木をして同じ品種を増殖するといった面倒で無駄なことをするくらいなら,しっかりと管理された最新品種の苗木を1品種につき1本ずつ購入した方がコスパが良いと思っています。(あくまで個人的な見解です)
また,ブルーベリーは他の果樹と比べても苗木が安いので,農家や苗木業者でもない限りあえて自家増殖をするまでもないと思っていますし,アメリカまで行って契約し,最新品種を日本へ普及してくれている「大関ナーセリー」さんを陰ながら応援したいと思います。
フリッカーの3年生苗は簡単に入手出来た
調べた結果,鉢植え栽培に適しているという点と収穫量の多さに魅力を感じ,私も育ててみたいと思い,注文しようと「大関ナーセリー」のオンラインストアを覗いてみたところ,2019年10月に3年生苗が在庫ありとなっており,すぐに注文しましたところ問題なく届きました。
2019年10月に購入したフリッカーの3年生苗が届く
2019年10月,「大関ナーセリー」からフリッカーの3年生苗木が届きました。
フリッカーは18㎝ポット仕立てで届き,苗木としては2019年の日照不足を問題ともしないで十分なサイズで送られてきており,根もしっかりと張っていました。
2020年の栽培記録
フリッカーの3年生苗が届いてから,2019年10月から2020年10月までの1年間育てた時の栽培記録は,以下の記事で紹介しています。
3年生苗ブルーベリーのフリッカーが1年間でどう成長していったか記録しました
2020年シーズンは2019年の栽培時に他品種で分かった課題を踏まえた栽培計画を立てており,フリッカー自体の樹勢の強さもあって18cmポットから45cmナーセリーポットに植え替えできるまでに成長してくれました。
そして,2020年10月に成長が止まりフリッカーが4年生苗となりましたので,3年生苗として2020年シーズンの栽培記録はここまでとし,2020年11月以降は2021年シーズンとしました。
2021年シーズンの栽培計画
2021年シーズンの施肥計画を作りましたので紹介するとともに,フリッカー(4年生)がどのくらいの収穫量を見込んでいるのか,どれくらい成長することを期待しているのか紹介しますね。
施肥計画
2020年は成長を優先した施肥計画に加え,有機質肥料と速攻性化成肥料,緩効性化成肥料の3種類に分類される肥料を使って,他の品種とともに成長の比較をしました。
その結果,最も成長した肥料の組み合わせを2021年ではすべての品種で試し,収穫をメインとした施肥計画に切り替えていきます。
2021年シーズンにおけるフリッカーの施肥計画は以下のとおりです。
品種 | 樹齢 | 2月中旬(元肥) | 5月中旬(追肥) | 7月中~下旬(礼肥) | 合計チッ素成分量 |
フリッカー | 4年生 | 油かす 80g(N=4g) | IB化成 30g(N=3g) | IB化成 30g(N=3g) | N=10g |
予想収穫量
次に,私が予想した2021年シーズンの予想収穫量は以下のとおりです。
系統 |
品種 | 樹齢 | 花芽の数 | 花芽1個あたりの収穫量 | 予想収穫量(✕80%) |
SH | フリッカー | 4年生 | 146個 | 25g | 2,920g |
なお,フリッカーの花芽の数は12月の剪定後に残っている状態のままカウントしており,2月の剪定で花芽の数を100~130個程度に調整する予定です。
よって,予想収穫量は2,000~2,600g程度になると予想しています。
成長予想
2021年シーズンにおけるフリッカーの成長を予想すると,2.3kg程度の収穫を見込んでいるものの,樹勢は衰えることはなく,樹高は1.8m程度,樹冠も直径1.8m程度まで成長すると見込んでいます。
2020年11月-2021年10月の栽培記録
さて,ここからは2021年シーズンの栽培記録です。
2020年11月は紅葉が進んでいた
ブルーベリーの様子
2020年11月21日,フリッカーは,9割以上で紅葉が進んでいました。
あまり綺麗な紅葉とはいえませんね。
フリッカーも急成長したおかげで枝が伸び放題です。
冬剪定は春から成長させた3本の主軸に加え,夏に急成長した根元からのシュートを加えた主軸4本を成長優先にして,周囲の結果枝を残して収穫量を確保していこうと思っています。
来年は1kg以上を収穫目標としたいですね。
紅葉している枝に注目してみると,葉の色は暗い赤色と鮮やかな色調の赤が混ざっていますね。
褐色か鮮紅色のどちらといえば良いか分かりません。
また,既に花芽の分化は進んでおり,ほとんどの枝では花芽が出来ていました。
冬の剪定が楽しみです。
11月の管理内容
11月の栽培管理は,植え替えと水やりです。
6月に植え替え済み
フリッカーは6月で植え替え済みですので,当月は特に作業することはありませんでした。
無事に10号スリット鉢から45Φナーセリーポットに鉢増し出来たので,成長は順調そのものです。
自動潅水機の電池交換をした
鉢植えの品種を写真撮影をしていたときに、鉢が軽いなと思っていたら、なんと自動潅水機であるタカギの「かんたん水やりタイマー」が電池切れを起こしていました。
前回記録した10月16日以降のいつから電池が切れていたのか分かりませんが、幸いにも水の需要が少ない紅葉の時期だったため、自然の降雨だけでもブルーベリーたちは枯れていませんでした。
2019年2月に購入してから初めての電池交換ですので、電池の寿命は1年8ヶ月くらいですね。
次回から余裕をもって1年半くらいで交換しようと思います。
2020年12月は休眠が始まっていた
ブルーベリーの様子
2020年12月25日,フリッカーは,すべての葉で紅葉して既に落葉し始めていました。
じっくりと樹形を観察したところ,今年の春に発生したサッカー5本は,残念ながらほとんど成長することなく3本は枯れてしまいました。
また,株元から細い枝がたくさん発生していますが,風通しが悪くなるため剪定対象となりそうです。
2020年7月24日に発生が確認できた根元からのシュートは,非常に太い枝となり将来の主軸枝としていこうと思います。
1kg以上が収穫目標です。
結果枝に注目してみると,先端に花芽が3~8個程度ついていました。
そのまま結実させればそれなりの収穫量は期待できますが,大きなブルーベリーの果実をつくりたいので,結果枝を切り詰めて花芽は最終的に1本の結果枝につき2~3個程度にしようと思います。
12月の管理内容
株元をきれいに掃除した
冬は病害虫の発生自体はありませんが,紅葉が終わった後の落ち葉がある場合,落ち葉と鉢土の間に潜んでいる場合があります。
そうなると病原菌や害虫が越冬してしまいますので,株元は常にきれいにしておく必要があり,落ち葉が残っている場合は掃除をしましょう。
我が家の庭では,庭植えのホームベルと鉢植えの接木ミスティを除く3系統10品種では,すでに一部が落葉しており,ご覧のとおり落ち葉がたくさんありましたので,株元の掃除をしました。
農薬のマシン油乳剤を散布した
カイガラムシ類を見つけましたので農薬としてマシン油乳剤を散布しました。
また,散布しているとシャクトリムシも発見しましたので試しにマシン油乳剤をかけてみたら駆除することができましたので効果があるようです。
12月の作業内容
2020年12月29日に冬の剪定をした
2020年12月29日,フリッカーの全体の様子はこちらです。
今年の春に発生したサッカー5本は,残念ながらほとんど成長することなく3本は枯れてしまいましたので,剪定対象です。
また,株元から細い枝がたくさん発生していますが,風通しが悪くなるためこちらも剪定します。
右側に伸びている根元からのシュートは,非常に太い枝となり将来の主軸枝としていくため,葉芽で切り返し剪定をしていきます。
十分立派な樹に成長しましたので,翌シーズンは本格的に収穫出来るような剪定をしていくことができます。
結果枝に注目してみると,細い枝がたくさんありますが立派な枝も十分残りますので,不要な枝を剪定していっても心配はいらないですね。
特に根元にある成長の邪魔となる枝はすべてバッサリと剪定していきます。
ある程度収穫を見込んでいるため,花芽を残して収穫量を期待していますが,成長もさせたいため,右側だけでなく奥側も葉芽まで切り返し剪定していく箇所に作っていく必要はありますね。
剪定後の様子は以下のとおりです。
不要な枝をバッサリと剪定したことで,すっきりとしましたね。
翌シーズン立派に成長してくれることを祈っています。
近づいて撮影してみると,たくさんの花芽が残っているのが分かるでしょうか。
オニールと同様に,ジャム用の果実としてではなく生食用として収穫する予定ですので,なるべく果実の大きさを意識しており,果実品質の優れたブルーベリーが収穫できるよう2月の剪定で花芽の数を減らしていきます。
左側の主軸枝に花芽が集中しており,ある程度花芽の数を調整する必要もありますね。
また,成長するために必要なスペースはまだありますので,右側の主軸枝候補がどれだけ成長してくれるか楽しみです。
残った主軸枝の数,枝の数,花芽の数
今回の剪定で主軸枝の数,枝の数,花芽の数は以下のとおりです。
- 主軸枝…7本
- 結果枝…55本
- 花芽…146個
約150個程度の花芽を残しており,結果枝1本につき花芽を3個までとしますので,2月の剪定で花芽の数を更に100~130個程度に調整し,同じ4年生の鉢植え栽培しているサザンハイブッシュ系やラビットアイ系とではどれくらい収穫量が違うのか観察してみようと思います。
まとめ
ブルーベリーのフリッカー(4年生)の2020年11月から現在までの最新の成長記録を紹介しましたが,いかがでしたか?
これまでの作業内容と,管理内容,栽培方針など気になる点は大体理解出来たかと思います。
2021年10月までは記事を更新していく予定です。
この記事を読んでみて,フリッカーを育ててみようと思って貰えたら幸いです。
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